韓国のことわざに、ご飯が煮えるのを待っていると、時間がゆっくり流れる、というものがあります。お腹が空いていると、カップラーメンの3分でさえ長く感じるものです。愛する人を待つのは、それ以上に長く、切なく感じるでしょう。今日の最初にご紹介する曲には、ため息は風になり、涙は細い雨となって、という歌詞があります。愛する人を待ちくたびれて流す涙を、遠く離れた相手に届けようとすると、霧のように消えてしまうだろう、という意味です。それでも、自分はここで待っているという気持ちを、せめて風や雨に託したい、という気持ちを歌う曲です。チョン・マリさんの歌で、「바람, 눈물、風、涙」という曲をお聴きください。
昔の人々は、世界の始まりを神話で語りました。韓国にも、世界の始まりに関する神話があります。済州島(チェジュド)に伝わる、チョンジという王様の「チョンジワン・ポンプリ」というものです。ポンプリとは、神の起源や由来を歌う長い物語です。この神話は、まだ天と地が分かれていなかった混沌の時代から始まります。王様は、長男のテビョル王、次男のソビョル王に、それぞれ現世と冥界を治めるよう命じました。しかし、次男は現世を欲しがります。そこで、二人は、西の花畑で、どちらが先に花を咲かせるかという勝負をします。勝った方が現世を治めることにしたのです。このお花は、人間の生命や運命を変えることができる、とても特別なものでした。長男の花が見事に咲くと、次男は兄が眠っている間に花をすり替え、現世の支配権を奪います。しかし、現世は思った以上に混乱していました。弟は兄に頼み、太陽と月を一つずつ減らし、動物から言葉を奪い、幽霊と人間を分けました。でも、そのようにしたにもかかわらず、兄ほど上手くこの世を治めることはできませんでした。そのため、現世は今も混沌としているという結末です。それでは、このお話の歌をお聴きいただきます。済州チルモリダングッ保存会の歌で、「チョンジワン・ポンプリ」という曲です。
済州島には、「プダシ」という儀式があります。これは悪い気運を洗い流し、良い気運を呼び込むための儀式です。非常に速くて賑やかなリズムで、「ホッセ」という掛け声を繰り返すのが特徴です。今日の最後は、この儀式をモチーフにした歌をご紹介いたします。チュダヘ・チャージスの歌で、「ホッセ」という曲をお聴きいただきながら、お別れしたいと思います。