朝鮮時代の文人であり詩人のソ・ゴジョン先生は、「四佳亭(サガジョン)」という雅号を用いました。先生が大事にした美しい四つのもの、梅、竹、蓮、そしてハマナスがある東屋という意味です。足元に深く差し込む影、絶え間なく漂う蓮の香り、ひとり目覚めれば、桐の葉に落ちる雨の音。これは、蓮の花が咲く東屋のそばで、夏の午後居眠りをしていたところ、ふと雨の音に目を覚ました光景のようです。こうした日常の些細な瞬間からも趣きを見出すのが、昔の文人の生き方であったようです。それでは、グループ・スルギドゥンの演奏で、「ソナギ、にわか雨」という曲をお聴きください。
続いては、韓国の伝統芸能、パンソリ、「シムチョンの歌」の一幕をご紹介します。物語では、目が不自由なシムチョンの父が宴会に向かっていたところ、連れのペンドギネに裏切られてしまいます。父は知らない土地に一人で取り残されてしまいました。腹立たしさと不安を抱えながらも、父は旅を続けました。しかし、夏の日差しが照りつけ、汗をかき、力も尽きかけています。そのとき、どこからか涼しい水の音が聞こえてきました。父は、服を脱ぎ、気持ちよく水浴びをしました。ところが、その様子を見ていた人がいたようです。誰かが彼の服を全て持ち去ってしまったのです。この場面を、オ・ジョンスクさんの歌でお聴きいただきます。「심청가 중 심봉사 목욕、シムチョンの歌の中から、シムボンサの水浴」という曲です。
地方ごとに方言があるように、音楽にも方言があります。これを「トリ」と呼びますが、韓国の南西部、全羅道(チョンラド)地方の場合は、「ユクチャベギトリ」といいます。この「ユクチャベギ」は、全羅道地方の民謡の題名でもあります。六つの拍子で歌うことから、六という意味のユクがついた名前になりました。歌詞は歌い手によって異なりますが、主に別れの内容になっています。各節の最後を、「クナヘ」という言葉で締めくくるのが特徴です。今日ご紹介するキム・スヨンさんの歌では、竹で作った矢が飛び去ることを愛しい人との別れに、竹で作るテグムの音色を自分の涙に例えています。だから、心を痛ませるテグムは絶対に植えないと歌っています。長い年月をかけて、人々の口から口へと伝えられてきた、詩のような歌詞に耳を傾けてみてください。それでは、キム・スヨンさん外の歌で、「ユクチャベギ」という曲をお聴きいただきながら、今日はお別れしたいと思います。