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「寿斉天(スゼチョン)」ほか

#国楽の世界へ l 2018-10-03

国楽の世界へ


国ごとに民族の始まりに関する神話や物語りがあります。はるか昔、人々が共に暮らすようになったときから神話や物語りができました。人々が集まると秩序ができ、人間と動物を区分できるようになりました。とても不思議な経験だったはずです。文字がなかった時代は、経験が口から口へと伝わり、次第に神秘な物語りになりました。そして、それが神話となって記録されたのです。今の時代の考え方からすると、神話は科学的にあり得ない話で迷信だと思うかも知れません。でも、そこには代々受け継がれてきた民族のプライドがあります。今日10月3日は、檀君(タングン)が古代朝鮮を建国したことを記念する日、開天節(ケチョンジョル)という日です。今日は、まず、心が温かくなる曲をご紹介いたします。国立国楽院の正楽団の演奏で、長寿と繁栄を祈念する、「寿斉天(スゼチョン)」という曲をお楽しみください。


この曲は、もともと、百済の「井邑詞(チョンウプサ)」という歌謡曲から由来したものです。井邑(ジョンウプ)という所に暮らすある女性が、夜遅くまで帰ってこない夫を待ちながら作った曲だそうです。月に向かって、夫の帰り道を明るく照らして欲しいと願う曲です。この音楽は統一新羅時代と高麗時代を経て、朝鮮時代にまで伝わりました。朝鮮時代には宮中の催しで演奏する曲になります。その昔、百済の女性が歌った素朴な歌とは、リズムも意味も大分変わりました。でも、人を大事にする気持ちがこもったリズムであったため、この曲が現在に至るまで伝わっているのではないかと思います。朝鮮時代に民を大事にした王様といえば、世宗(セジョン)大王が挙げられます。世宗大王がハングルを作ったのも、漢字が読めない民を心配してのことだったそうです。国に対して提案などがあっても表現できないことを心配してのことです。また、民と共に楽しむという意味の音楽、「與民楽(ヨミンラク)」という曲は、世宗大王が直接作曲しました。このような場合、本当に王様が直接作曲したのかと思うかも知れません。でも、世宗大王は、絶対音感の、音楽に才能がある方だったそうです。ユネスコ人類無形文化遺産に登録されている、王朝の先祖に祭祀を捧げるときの歌、「宗廟祭礼楽(チョンミョジェレアク)」という曲も、世宗大王が作曲した曲なんです。それでは、「宗廟祭礼楽」という曲を、国立国楽院の正楽団の演奏でお楽しみください。


当時は、王朝で祭祀を捧げるとき、中国で伝わった音楽を演奏したそうです。ですが、世宗大王は、この世の者は韓国の音楽を楽しんで、亡くなった方には中国の音楽で祭祀を捧げることに疑問を持ったそうです。祭祀を捧げるときの音楽を韓国の音楽に変えようとしたものの、当時は臣下の反対が激しく実現できませんでした。後日、世宗の気持ちをよく知っていた息子の世祖(セジョ)が、韓国の音楽を「宗廟祭礼楽」として演奏し始めたとのことです。今日の最後は、江原道(カンウォンド)地方のアリランをお楽しみいただきます。イドの歌と演奏で、「江原道アリラン」という曲です。「江原道アリラン」は素朴で叙情的な音楽です。韓国の数々のアリランの中でも最も古い歴史を誇ります。今日は韓国の開天節を向かえ、人や音楽、地方の情緒を大事にする気持ちが感じられる音楽をお楽しみいただきました。

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