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論点

元徴用工訴訟、公示送達の効力発生

2020-08-08

ニュース

ⓒ YONHAP News

日本の植民地時代に非人道的な扱いを受けたとして、元徴用工被害者が損害賠償を求めた訴訟で、被告の日本企業が資産差し押さえ命令の書類を受け取ったとみなす「公示送達」の効力が4日午前0時に発生しました。

公示送達は、民事訴訟で送達しなければならない書類を、一定期間、裁判所の掲示板に掲示することで送達したとみなし、その効力を発生させる方法です。

当事者の住所が不明であったり、または住所が外国で送達のできない場合に適用される方法です。

最高裁に当たる韓国の大法院は2018年10月に日本製鉄、前の新日鉄住金に対し元徴用工への賠償を命じる判決を下しました。

この判決を受けて大邱地方裁判所は被告の日本製鉄に対して外交ルートを通じて資産差し押さえに関する書類を送達しようとしましたが、日本の外務省は「元徴用工問題は日韓請求権協定で解決済み」との立場を示し、受け取りを拒否しました。

そのため大邱地方裁判所はホームページなどに掲示することで送達したとみなす公示送達の手続きに入り、4日に公示送達の効力が発生したものです、

差し押さえの対象となるのは、日本製鉄が韓国の鉄鋼大手ポスコと合弁で設立したリサイクル会社「PNR」の株式です。

日本製鉄は、資産の差し押さえ命令決定に関する公示送達の効力が発生したことについて、7日、即時抗告書を大邱地方裁判所に提出しました。

日本製鉄はこの問題について、「国家間の正式な合意である日韓請求権や経済協力協定で最終的に解決されたものと理解している」との立場を示しました。

日本製鉄の即時抗告は棄却される可能性が高いとみられていますが、即時抗告が認められなかったとしても、原告側が差し押さえた日本製鉄の韓国内資産に対し、実際に売却命令が出て現金化されるまでには、さらに数か月はかかる見通しです。

日本製鉄が株式を保有しているPNRは非上場企業なので株式の価値を鑑定する必要がありますが、鑑定の作業には少なくとも数カ月はかかるものとみられます。

また、鑑定作業が終わり、実際に売却命令を出す場合にも外交ルートを通じて関係書類を日本製鉄に送達しなければなりませんが、日本の外務省が受け取りを拒否すれば、再び公示送達の手続きを進める必要があります。

公示送達の手続きには2カ月程度がかかります。

日本政府は、日本企業の資産について売却命令が出されれば、対抗措置を取る構えです。

日本の菅官房長官は4日の会見で、「現金化に至ることになれば、深刻な状況を招くので、避けなければならない」としたうえで、「あらゆる選択肢を視野に入れて、毅然と対応していきたい」と述べました。

この問題で両国関係は悪化の一途をたどっていて、もし実際に売却命令が出れば両国関係はさらに深刻な事態に陥ることになり兼ねません。

元徴用工問題については、日本は「解決済み」という立場を、韓国は「司法の判断を尊重する」との原則的立場を維持していて、今のところ解決策を見出すのは困難な状況です。

ただ、文在寅大統領は日本との対話を重視する姿勢を示していますし、日本では、東アジア情勢が不安定化している中で日韓が協力しなければならない課題が多くあり、元徴用工問題の解決を長引かせるのは望ましくないとの指摘も出ていて、今後の動きが注目されています。

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