小説『愛のあとにくるもの』
2024-05-15
北京冬季オリンピックの開会式が4日夜に行われました。
開会式の演出で、中国の民族衣装として韓国の伝統衣装である한복、韓服が登場したことで、論議を呼んでいます。
問題となったのは、中国国内の56の少数各民族が中国の国旗を手渡しで運ぶ場面で、中国の朝鮮族を代表するとみられる女性が韓服姿で登場したことです。
朝鮮族は、中国の国籍をもつ朝鮮民族で、朝鮮系中国人とも呼ばれています。
中国には韓半島以外では朝鮮民族が最も多く居住しており、その大部分が北韓との国境に近い中国北東部に居住しています。
開会式を見守った外国人は、韓国の伝統衣装が中国文化の一部であると誤認する恐れもあり、韓国国内では文化の盗用だとする批判の声が上がっています。
中国は2002年2月から5年間、中国社会科学院の主導で、東北工程という名のもとで、中国北東部の東北三省、旧満州の歴史研究を進め、旧満州一帯を支配していた高句麗が中国の少数民族だったと規定しました。
高句麗は古代朝鮮の三国の一つで、7世紀まで韓半島北部から中国北東部を支配し、中国の脅威となった勢力でもありました。
東北工程については、韓国国内では歴史の捏造だとする批判が高まっていました。
今回、オリンピックの開会式で中国の朝鮮族みられる女性が韓服姿で登場したことについては、韓国国内では東北工程の伝統衣装版だとする指摘があるなど、中国への反発が高まっています。
最近、中国の人権問題に対する国際的な批判が強まっていますが、北京オリンピックはアメリカ、オーストラリア、イギリスなどの国々が政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を表明する中で開催されました。
各国が外交的ボイコットを表明したのは、中国でウイグル族に対する残虐な迫害行為と人権侵害が行われているとして中国政府に抗議するためでした。
こうした中、中国は北京オリンピックの開会式で、聖火リレーの最終ランナーにウイグル族の選手を起用しました。
この選手は新疆ウイグル自治区の出身で、開会式で漢族の男性選手とともに聖火リレーの最終ランナーを務めました。
中国は否定していますが、人権団体や欧米の国々は、中国が新疆地区で民族大虐殺=ジェノサイドを行っていると非難しています。
最終ランナーにウイグル族の選手を起用したのは、こうした批判をかわすためだったのではないかと指摘されています。
聖火リレーでは、インドとの国境紛争で負傷した中国人民軍の兵士も参加、インドはオリンピックをあからさまに政治利用しているとして、強く批判し、開会式への参加をボイコットしました。
韓国の与野党は共に、明らかな文化の盗用だと批判し、政府に対して対応を求めましたが、開会式に参加した韓国の黄熙(ファン・ヒ)文化体育観光相は、政府として正式に抗議する予定はないと語りました。
2024-05-15
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