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ライフスタイル

仁川国際空港の正規職転換

#マル秘社会面 l 2020-07-01

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

仁川国際空港が先月22日、乗客と手荷物を検査する協力会社の非正規職の保安検査員1900人を公社が直接雇用すると発表しました。非正規職の正規職への転換はムン・ジェイン政権の大きな政策目標の一つです。

2017年5月、文在寅大統領は就任直後に仁川国際空港を訪れ「任期中に『公共部門の非正規職ゼロ』時代を開きたい」と述べています。当時の仁川国際空港公社のチョン・イルヨン社長は「空港ファミリー1万人を全員正規職に転換する」と応じました。そして3年がたった先月22日の発表となりました。

しかしその結果は、世の中から歓迎されるだけのものではありませんでした。もともと協力会社の非正規職員を仁川国際空港が直接採用する正規職にするということは、職員1400人の会社に正規職1万人が生まれるようなものだからです。22日の社長の発表の際には正規職組合が社長室前で抗議のデモを行いました。本社の正規職1400人より多い1900人が一度に入ってくることになるからです。

また今回の発表は特に20代、30代の若者たちから強烈な反感を浴びました。 23日に大統領府のホームページ国民請願にアップされた「公企業の非正規雇用の正規化を止めてください」と題する請願文には、24日午後8時現在で20万人以上が同意しています。請願人は「これは平等ではなく逆差別であり、若者たちにとっては、より大きな不幸だ」と主張しています。

仁川国際空港は若者たちの間で「夢の職場」と言われています。求人・求職サイト運営企業のインクルートが今月初め調査した「最も働きたい公企業」ランキングで、仁川国際空港公社は18.4%の得票率で1位になりました。新入社員年給も4589万ウォン(約400万円)と公企業の中で最も多く、昨年、上半期と下半期を合わせて35人という新入社員の公開採用には5469人が志願、競争率は156倍でした。

「不公正」に対する怒りは、各大学のコミュニティーサイトや就職情報掲示板など20-30代がよく利用するインターネット・サイトで特に多くなっています。「何も手につかず、無気力になった」「努力した者たちがかえって差別される『こじき』のような状況」「勉強しないでください。駄々をこねればいいんです」

新聞社のインタビューでも20代の市民は「大学を卒業し、それまで勉強してきたことを基に(採用試験で)3浪、4浪までする人もいるのに、そういう人の立場からするととても悔しいだろうと思う」と述べています。

国民大学のチェ・ハンソプ教授は「現政権がスローガンとして掲げ、追い求めてきた『平等』『公正』が、現実では既成世代のために若年層の犠牲を求める方向、または階層移動のはしごを外す方向で政策に反映されているため、若年層は反発するだろう」と語っています。

一方で与党議員は26日、「もう少しだけ勉強して筆記試験に合格し、2倍の賃金を受け取ることの方が不公正」と発言しています。さらに「就職準備生の未来の職場を非正規職労働者が奪うと言う論理は不当であり、逆差別である。2019年基準の仁川国際空港の正規職の平均年俸は9100万ウォンに達する反面、今回正規職に転換される非正規職の年俸は3850万ウォンになる」と主張しています。

公共機関経営情報公開システム「ALIO」によると、現政権発足後の2017年から今年1-3月期までの約3年間で、公共機関363機関で非正規職から正規職になった職員は9万1303人に達したとのことです。大統領の公約は実行されているということですが、それを国民みんなが歓迎しているわけではないようです。

世論調査機関のリアルメーターが先月26日に成人男女500人を対象に実施した調査では公共機関の正規職転換と関連して45.0%が「逆差別などの副作用を考慮して保留すべきだ」と答えました。反対に「正規職への転換は推進するべきだ」という意見は40.2%でした。年齢別には20代で正規職への転換は保留すべきだという意見が55.9%で最も多くなっていました。 

世の中が新型コロナウイルスの感染拡大で経済が悪化し、雇用が難しくなっている状況での今回の仁川空港の発表。若者たちの不安心理が増している中、大統領との約束を守ろうと必死だった幹部たち。この問題について大統領自身の発言はまだありません。

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