あわびは東アジアではとても貴重な食材だった。朝鮮でも一般家庭で食べられるようなものではなかった。済州島や西海岸、南海岸で獲れたものを乾燥させて王に献上し、それが王室の特別な宴会などで出された。特に旧暦の10月、王が老人たちの長寿を祈願する宴で、あわびは欠かせなかった。乾燥させた魚介類をもとの味に近い味に戻すために、蒸すという方法が最も多く使われた。ジョンボクチムはそうした知恵から考案された料理である。
主な材料 :
2人分
活きあわび5個、干しなつめ3個、銀杏10個、栗5個、松の実のみじん切り20g、卵2個、酒大さじ1
ヤンニョム(味付け) :
味付けのたれ : しょうゆカップ1/2、酢50g、砂糖大さじ5、レモン1/2個、たまねぎ80g、長ねぎ50g、にんにく40g
あわびはきれいに洗い、肝の袋が破けないように丁寧に外し、身と肝を切り離す。 さばいたあわびは殻についていた方を上にして、表面に格子状に切り込みを入れたあと、
ボウルにあわびと肝を入れ、大さじ1ぐらいの酒をふりかけ、手でもむようにしてなじませる。 栗は殻をむき、一口大に切り、あわびと肝といっしょに蒸し器に5分間蒸す。 レモンは皮をむき、たまねぎは薄切り、長ねぎは斜め切りし、にんにくは薄くスライスする。 鍋にレモンとたまねぎ、長ねぎ、にんにくと酢、しょうゆ、砂糖を入れて煮立たせる。煮立ったら火を弱くしさらに10分煮て、野菜のうま味をたれにしみこませ、火を止め煮汁を濾す。 盛り付けのための飾りとして卵を黄身と白身を分けて薄く焼き、1cm四方のひし形に切る。松の実はみじん切りにする。干しなつめはかつらむきして種を取り除き、身を手前から巻いて薄く切り、花のような形にする。銀杏は炒って甘皮をむき、蒸した栗は4等分する。 たれに蒸したあわび、肝、栗を入れ、中火で4、5分間煮詰める。 あわびの殻にあわび、肝、栗、飾りをのせる。 ☑ あわびに切り込みを入れると火が通りやすくなり、あわびがやわらかくなる。
☑ あわびの身と肝に酒をまぶし、臭みをとる。
☑ 松の実はペーパータオルにのせ、包丁の背でつぶしてからみじん切りにする。
☑ あわびの殻を器にする場合、殻は塩水に煮て消毒してから使う。
ソン・ドンジュ:
CJフレッシュウェー メニュー開発/コンサルティングパート 主席シェフ
CJ調理師教育専門/ 韓国料理のクッキングクラス担当