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ライフスタイル

韓国の高齢ドライバー対策

#マル秘社会面 l 2021-12-22

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank

日本では高齢ドライバーに運転免許の返納が求められているようですが、韓国でも実情は同じようです。現在政府は、65歳以上のドライバーは5年ごとに適性検査を、75歳以上は3年ごとに適性検査と交通安全教育を、それぞれ受けるように定めています。こうした教育には視覚や聴覚反応、記憶力、注意力など運転適合性評価が盛り込まれています。しかし、実際の走行能力を評価していないため、効果は低いといった声も聞かれます。

そこで警察庁は2025年の導入をめどに「条件つき免許制度」の実施を進めています。警察庁の発表によりますと条件付き免許とは

運転可能時間や場所、制限速度、運転パターンなどの特定条件を守るという条件の下、制限的に運転を認める制度のことです。個々の運転能力に応じて夜間や高速道路、都心運転など、許容範囲以外の運転は禁止されます。

さらに警察は高齢ドライバーの運転能力評価に向け、仮想現実(VR)を活用することにしました。VR機器を使用し、夜間や高速道路など仮想状態における運転対処能力を評価するというものです。警察は今後3年間で36億ウォンの予算を投入してこの制度を準備します。

韓国の高齢ドライバーの基準は65歳です。そしてこうした条件付き免許制度案が発表されると批判の声も聞こえてきました。65歳はまだ若いという批判です。「年齢に伴う不当な差別」「高齢者の運転制限は生計だけでなく、基本的人権を制約する措置」などの反発が相次いでいます。しかし高齢ドライバーによる交通事故は韓国でも増えています。

今年9月には、釜山の片側4車線の道路で、Bさん(86)が運転していた乗用車が中央分離帯を越え、反対車線を走行中だったマイクロバスと衝突。9人が負傷する事故が起きています。

交通死亡事故のうち65歳以上のドライバーが引き起こした事故の占める割合は、2016年の17.7%から昨年は23.4%にまで増えています。65歳以上の高齢ドライバーは昨年基準で368万人と、全ドライバーの11.1%に相当します。

警察庁は、社会の高齢化によりこの数値は今後もさらに増加し2025年には498万人と、この先5年間で130万人ほど増えると予想しています。  

政府と各自治体は、65歳以上の高齢ドライバーが免許を自主返納すれば、地域で使える商品券や交通カードなどを提供する制度を施行していますが、実際に返納する人はそれほど多くありません。例えばソウル市は、70歳以上の市民が免許証を返納すれば、バスやコンビニなどで使える10万ウォン(約9600円)の交通カードを発行しています。しかし、昨年の免許返納者は全国で7万6790人と全高齢者の2.2%にすぎませんでした。

警察は「条件つき免許制度」の導入と関連して「評価結果に応じて一様に免許を取り消せば、生計型の高齢ドライバーには痛手となる恐れがあるため、昼間や短距離運転、高速道路以外の一般道での運転など条件付きの運転を認める計画」だと述べています。また、警察は、VRを活用して夜間や高速道路での運転などドライバーの状況別対処能力を評価し、医師と交通専門家が参加した上で運転条件に対する最終判定を下す計画です。

交通システムの専門家は「韓国も運転免許の形式的な身体検査をより厳しくし、免許更新の際には実際に走行試験を実施すべき」だとし、より実質的なアプローチの必要性を訴えています。 仮想現実(VR)技術で運転能力を評価して、条件付きの免許を渡すと言うこの制度、そんなことをするよりも都心では自動運転の車が登場してくるのではという気もします。

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