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ライフスタイル

第649話 ほのぼのドラマの人気再燃?

#アジュンマの井戸端会議 l 2022-04-05

玄海灘に立つ虹


お茶の間で、ラブコメディーなどほのぼのドラマの人気が復活しています。

去年は刺激いっぱいのいわゆるマクチャンドラマ(やや現実離れした刺激的な展開を見せるドラマ)や硬派なジャンル物が優勢でしたが、今年は純粋なロマンスの人気がもり返してます。

その流れをリードしている作品が、tvNの『二十五、二十一』とSBSの『社内お見合い』です。それぞれ2月12日、28日に放送が始まり、『二十五、二十一』は4月3日で最終回、『社内お見合い』は4月9日で最終回となります。視聴率はいずれも中盤から10%台前半をキープしています。ネットフリックスで配信されているので、日本でもご覧になれます。ちなみにネットフリックスでの韓国国内での視聴順位は、3月30日の時点で『二十五、二十一』が1位、『社内お見合い』が4位となっています。また3月21~27日までの非英語圏のテレビ部門で『社内お見合い』が1位、『二十五、二十一』が2位をつけていて、韓国だけでなく世界でも人気を集めていることがわかります。

これらの作品が人気を博しているのは、重たい雰囲気のジャンル物があふれる中でほんわか系の優しいドラマだということ、それに普通のラブロマンスに人々を惹きつける要素を散らばらせていることが理由として挙げられれています。

『二十五、二十一』は1998年、通貨危機のさなかにある韓国を舞台に、その中で揺れる青春を描いています。タイトルは男女二人の主人公の年齢で、没落した家を盛り立てようと家族と離れて奮闘する男性、イジン(ナム・ジュヒョク演)と、通っていた高校で所属していたフェンシング部がなくなったことで他の高校に転校するために犯罪に巻き込まれようとするほどの気風の持ち主、ヒド(キム・テリ演)が、それぞれ二十二と十八で出会い、二十五と二十一になった時、恋をするというストーリーで、当時の社会的な状況などもリアルに描かれています。

『社内お見合い』は、2017年に連載されていたウェブトゥーンが原作で、貧しいけど屈せずけなげに頑張るいわゆるキャンディ・キャンディ型のヒロインと財閥の御曹司のヒーローが出てくる、まさに王道のラブコメです。監督自らが「予想可能な状況をストレートに描いた」というほどの王道ぶりがむしろ視聴率の上昇につながったと分析されています。大企業のCEOのカン・テム(アン・ヒョソプ演)と、その企業の社員のシン・ハリ(キム・セジョン演)が惹かれ合う姿を描いているのですが、シン・ハリは、親友に頼まれて、縁談を壊す目的で彼女の代わりにお見合いに挑むのですが、その相手はカン・テムで……という物語が展開する、馴れ初めがまさに「社内お見合い」です。

こうしたほのぼのドラマの人気が高まっているのは、去年下半期に放送されたtvN『海街チャチャチャ』やSBS『その年、私たちは』などの心温まるドラマがヒットしたことの延長線上にあるといえます。2月から放送が始まり4月3日に終わったJTBCのドラマ『気象庁の人々:社内恋愛 残酷史編(邦題:気象庁の人々:社内恋愛は予測不能?!)』も、気象庁内の社内恋愛をきめ細かく描いています。特に悪役と呼べるキャラクターがいないこと、刺激的で暴力的な展開がないというのが、こうした作品に共通している点です。


去年、OTT(有料の動画配信サービス)市場では、ネットフリックスオリジナルドラマの『イカゲーム』や『地獄(邦題:地獄が呼んでいる)』などハードボイルドなジャンル物が注目され、さらにテレビドラマでは、SBSの『ペントハウス』やTV朝鮮の『結婚作詞 離婚作曲』(現在シーズン3放送中)などいわゆるマクチャン物が大きな話題をさらった現象とは対照をなしています。


ジャンル物が人気を得たことから、OTTも地上波テレビもハードボイルドなジャンル物を量産している中、社会の雰囲気も新型コロナなどで重たい時期に、疲労感を感じた人たちがゆる系のロマンス物を観るようになったのではないかと専門家らは分析しています。ただ、大衆文化評論家のキム・ソンスさんは、「同じロマンス物でも以前のものと変わりないものは成功できないだろう」としています。そのうえで、「『二十五、二十一』は、90年代後半がルーツでレトロ志向にみえるが、1988年当時の社会の様子を通じて現在の韓国社会の痛みや状況をも省みることができる」と話します。また『社内お見合い』についても「典型的なシンデレラストーリーではあるが、社会的地位の隔たりが大きい女性同士の友情など、魅力的な新しい要素がある」と説明しています。

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