メニューへ 本文へ
Go Top

ライフスタイル

国立中央博物館での夕食会

#マル秘社会面 l 2022-05-25

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News

アメリカのバイデン大統領の韓国訪問はいろいろな意味で話題になりました。特に新政権の発足後、わずか10日あまりで行われた韓米首脳会談だったこともあり、批判の声もありました。大統領の執務室を青瓦台から龍山の国防省の建物に移したばかりで、一部ではまだ工事も行われていました。そして特に博物館で夕食会を行うことについて賛否両論が出ていました。

最初は同じ龍山に位置する、国立中央博物館と戦争博物館の両方が夕食会の会場として名前が挙がっていました。それが今月18日に国立中央博物館のホームページに「21日は国家の重要行事のため企画展示室を除いたすべての施設について臨時休館となります」という告示がでて、中央博物館での夕食会の開催が公になりました。

常設展示館は休館となり、企画展示室も午後3時以降は入場ができなくなりました。企画展示室ではサムスングループの故イ・ゴンヒ会長のコレクションの展示が行われており、競争率の高いこの展示の予約入場券をようやく手に入れた人々は、わずか3日前に突然入場できないと言われ不満の声があがりました。「文化享有権の侵害だ」と。また「温度・湿度に敏感な文化遺物の隣で食事をするなどおかしい」という批判の声もあがりました。

しかし国立中央博物館で今回のような外国首脳を招いての夕食会が開かれるのは初めての事ではありません。2010年11月のG20の首脳会談の際の公式晩さん会、そして2012年3月のソウル核安保首脳会議に出席した閣僚の夫人たちの夕食会も国立中央博物館で開かれています。この二つの夕食会は共に、イ・ミョンバク大統領の時代に行われたものです。

G20首脳会談の際には夕食会は博物館の常設展示館内の特別展示室で行われました。会場には新羅時代の金銅冠、金製の腰帯、鴨の形の土器なども展示されました。その際には当時のオバマ米大統領が「韓国文化がこのように独創的だとは知らなかった。韓国の素晴らしい文化施設にも驚いた」と述べ、韓国文化を広報した良い機会だったと評価されました。そして当時の博物館長はその後、2011年に文化体育部長官となっています。

しかし2年後に開かれた核安保首脳会議の時には批判の声が高くなりました。夕食会の会場に朝鮮の木家具、白磁の壺などが展示されたため「文化財をインテリアの小物に転落させた」というものでした。これに対して博物館側は「アメリカのメトロポリタン美術館、フランスのルーブル美術館など、世界の主要美術館でも展示空間を活用して夕食会を含めた多様なイベントが行われている。現在の美術館は複合文化空間としての機能が増大している」と反論しました。

そして今回、10年ぶりにまた国立中央博物館で夕食会が開かれました。その前の首脳会談が長引き、博物館内の遺物をバイデン大統領とユン大統領夫妻が一緒に見て回る時間はだいぶ省略されたようですが、それでも世論は好意的です。

そして夕食会の華となるメニューに関してもいろいろな報道が出ています。今回のメニューは牛カルビとビビンバなどのメインメニューのほか、前菜には紫いも、カボチャ、黒ごまで作った3種類の薄焼きとあずきのドリンクが、食後のデザートにはナッツ類、フルーツとともに利川(イチョン)のコメで作ったライスケーキが準備されました。

特にバイデン大統領が前菜とデザートを完食したとして話題になりました。ホワイトハウスの関係者も「ヘルシーフード(healthy food)はもともと美味しくないことが多い。ところがここに出されたヘルシーフードはなぜこれほど美味しいのか。名前は何か」と関心を示していたということです。

今回の夕食会は新政府発足初期ということで準備期間が充分ではありませんでした。過去に海外国賓午餐・晩餐を担当したシェフの間では「米国大統領訪韓の場合はメニューの企画と準備で通常2~3カ月はかかるが、今度は準備時間が短く、キッチンなど料理空間も青瓦台ではなく国立中央博物館なので障害要素もあった」という話も出ていました。

今回のメニューはボリュームを増やして満腹感を与えるよりも厳選された材料でインパクトを与え、サツマイモやカボチャなど好き嫌いが大きく分かれない食材で韓国の特色を表現するのに集中したということです。

何はともあれ、バイデン大統領の訪韓は無事に終わったようです。龍山の大統領執務室も大統領官邸も6月中にはすべての工事が終わることでしょう。では今後外国の首脳が訪韓する際にはどこで夕食会を開くのか、これからも何かあればたびたび博物館が使われるのか、気になるところです。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >