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第719話 韓国の高校野球について

#アジュンマの井戸端会議 l 2023-08-01

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News
韓国ではプロ野球の人気に押され、高校野球ははっきり言ってあまり盛り上がっていません。そんな高校野球が俄然注目される出来事が起きました。創部されてまもない地方高校の野球部が、全国大会で決勝に進出する「奇跡」が起こったのです。

奇跡の主人公は慶尚南道梁山(ヤンサン)市勿禁邑(ムルグムウプ)にある勿禁高校の野球部です。勿禁高校に野球部ができたのは2015年。野球部が使える球場が学校にないため、釜山大学の梁山キャンパスにある臨時の野球場を借りて練習していました。そんな勿禁高校が、7月8日から始まった第78回青龍(チョンリョン)旗全国高校野球選手権大会で、1対11で負けていた試合を14対12で逆転勝ちして準々決勝に進出したことが大いに話題になりました。準々決勝では自他ともに認める野球の名門高と接戦の末に勝利、準決勝に進み、結局決勝まで勝ち進んだのです。決勝戦では1対4で負け、準優勝となりましたが、野球部創部8年で手にした輝かしい成果です。梁山市など地元では、勿禁高校のための専用の球場が必要だという世論が形成されているということです。

勿禁高校に勝って大会で優勝したのは慶北(キョンブク)高校です。伝統的な名門と呼ばれていますが、この大会での優勝は1993年以来30年ぶりのことでした。30年前の第48回大会は、現在斗山(ドゥサン)ベアーズで監督を務める李承燁(イ・スンヨプ)さんが慶北高校の2年生だったときで、当時、李承燁選手は最優秀投手賞を受賞するなど大活躍、慶北高校の優勝に大いに貢献しました。そんな慶北高校の30年ぶりの優勝ということでも、高校野球が改めて注目を浴びる契機になりました。

韓国の高校野球は、韓国に野球が伝わった1905年、漢城(ハンソン)高校(現在の京畿高等学校)が校内で野球を始めたのが最初だったとされています。植民地時代も高校野球は続き、解放後は高校野球大会が相次いで開催され、韓国の高校野球は1970年代から絶大な人気を誇るようになりました。今回話題になった青龍旗全国高校野球選手権大会は、韓国でもっとも長い歴史を持つ高校野球大会で、1946年に開催されています。当時の名称は、全国中等学校野球選手権大会でした。

ところが、1982年、韓国でプロ野球が始まってから、高校野球人気は、それまでの人気が幻だったかのように一気に衰退します。高校のときに活躍した選手が卒業後すぐにプロ球団に入団することが多くなり、大会の数も増えていますが、大衆的な人気はプロ野球と比べられるものではなくなっています。今回の青龍旗全国高校野球選手権大会は、地元の中高年層の野球ファンが昔を懐かしむことができた時間となりました。それだけでなく、今回注目が集まったことを機に、韓国プロ野球の礎である高校野球をより成長させるために、さらなる関心が必要だとの声が上がっています。

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