メニューへ 本文へ
Go Top

ライフスタイル

小学校の校歌

2016-10-05

玄海灘に立つ虹

小学校の校歌
リスナーからのお手紙にも秋の文化祭、体育祭シーズンだという話がありました。そしてそんな文化祭や体育祭でも歌われる、校歌。昔、小学校に入学すると一番最初に校歌を習った記憶があります。「ハンキョレ」新聞がソウルの小学校402校の校歌を調べて分析したところ、21世紀だというのに1970年代のような歌詞の内容が多かったと指摘しています。校歌の歌詞の内容が古臭いというのは当たり前のことのような気がするのですが、なぜそれが問題なのか。記事の内容をご紹介しましょう
「ハンキョレ」新聞はソウルの601の小学校の中で校歌と楽譜を公開している402校の校歌の歌詞を分析しました。その結果、全体の75%にあたる303校の校歌が地理的な名称から歌が始まっていました。たとえば
冠岳山の聳え立つ気性を抱き(冠岳区 ナクコク小学校)
五千年の歴史を抱いて流れる漢江の水のように(銅雀区 ポラメ小学校)

のように近くの有名な山や川、歴史的な遺跡などを言及してその「気運」と「精気」を見習おうという内容です。ソウルの小学校の校歌に一番登場した地理的名称は「漢江」で103校の校歌に使われていました。面白いのは最近開校したあまり歴史の古くない小学校の歌詞には「オリンピックの場」「空港に行く道」「ヨイド広場」などという現代的な名称も出てきました。
そしてこの新聞が一番問題視していたのが、国家主義的、民族主義的な使命を強調した部分です。たとえばこんな歌詞です
「この国の大きな仕事をする力を育てて代々、良い暮らしのできる働き手になろう」(江南区 ノヒョン小学校)
「今日は力の限り両親に尽くし、明日は心の限り国に尽くそう」(中浪区 チュンモク小学校)

このように校歌に「国」という単語が直接でてきた学校が155校、「国の働き手」のように「働き手」という単語が使われていた学校も87校ありました。また子供たちに現在の幸福よりも未来の大きな夢、儒教的な立身出世を強調する内容も出てきました。
「ここで学んで偉大な人になろう」(冠岳区 ポンヒョン小学校)

「前だけ見て進む大韓の少年」(麻浦区 アヒョン小学校)


ソウルサミャン小学校のペ・ソンホ先生は

「小学校の校歌をみると子供たちの尊厳性、それ自体ではなく国の労働資源であることを強調する国家主義の教育観が反映していることが多いです。生徒たちと一緒に、時代にあった歌詞になるように校歌を見直す必要があります」

韓国教員大学の教授も

「校歌は学校教育の一部であり、必ず必要な音楽活動ですが、難しい単語が入った歌詞は小学生が理解するには難しく改善する必要があります。数十年間学校を象徴してきた校歌を変更するのは現実的には簡単ではないでしょうが、画一的な○○山の精気で始まり、意味も良く分からないまま歌っている校歌の歌詞はもう少し親しみやすく、分かりやすい内容に一部変えるべきだと思います」

実際にソウルのある小学校では2年前から校歌の歌詞を変える作業を行っています。1950年代に開校し、その時に作られた校歌の歌詞が最近の子供たちが歌うには難しく意味も分かりづらいという理由からでした。校長先生が先頭になり、運動を行おうとしましたが総同窓会の猛反対にあい結局頓挫してしまったといいます。

卒業生としては自分が歌ってきた校歌がある日突然変わってしまうのは嫌でしょう。私もそう思います。でも校歌に山の名前はともかく、お国のためにとか、良い働き手になろうという歌詞はやはり首をかしげてしまいそうです。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >