メニューへ 本文へ
Go Top

ライフスタイル

韓国版 ジャンバルジャン

2017-01-11

玄海灘に立つ虹

韓国版 ジャンバルジャン
フランスの小説《レ・ミゼラブル》の主人公、貧しい職人ジャン・バルジャンは,飢えに泣く姉のこどもたちを救おうとしてパンを盗んだために投獄されてしまいます。最近の韓国で不況の影響でこのような生計型の軽犯罪が増えており、警察もそれに対応しているという話題です。
たとえばこんなケースです
新聞紙などを収拾して何とか暮らしている一人暮らしのおばあさん75歳は去年の3月ソウル市ソチョ区の住宅街を歩いているときに、ある家のドアの前におかれている宅配の荷物を見つけました。高そうな品だと思い、瞬間誘惑に負けて盗んでしまいますが、持って帰り開けて見ると中身は2万ウォン相当の生活用品でした。その家の主人の申告で捕まったおばあさん。警察はこのおばあさんが犯罪の前歴がないという点を考慮し、立件はしないことにしました。
このように生計型の軽犯罪で警察に捕まる21世紀型のジャンバルジャンが多いことが分かりました。これらの犯罪は大部分、経済的な苦しさから偶発的に起こしてしまったというケースです。
警察庁によりますと2016年3月から11月までに全国142の警察署で「軽微犯罪審査委員会」を運営した結果、軽犯罪で立件の対象となった1469人中、即決審判で972人は訓戒放免されました。
20万ウォン以下の罰金あるいは過料に該当する事件は即決審判となりますが、この場合は犯罪記録は残りません。しかし刑事事件として起訴されるとジャンバルジャンのように一生、前科者の烙印が押されてしまいます。
「軽微犯罪審査委員会」はそんな韓国版ジャンバルジャンを作らないために去年の3月から始まった制度です。単純窃盗や無銭飲食など、軽い犯罪を犯した軽犯罪者を審査して、被害の程度とその内容などにより処分を軽減させるというものです。スーパーなどで食べ物を盗むという軽犯罪者は経済的な理由が最も大きいといいます。たとえば
テグ市のスーパーで今月2日、30代の男性が新年の雑煮、トックックを作ろうとトックック用の餅と餃子など2万5000ウォン分の食材料を盗んだ
光州市では息子の結婚相手と、その両親と会う席に出席するために、9万9000ウォン相当のコートを盗んだ50代の男性が捕まった
大学の警察行政学科の教授は

「生活苦と生計型の犯罪は切っても切れない関係なので、警察などの司法機関でもこのような軽犯罪に対しては原則を固守するよりは一部情状酌量にすることが社会の安定に望ましいという側面があります」
と言っています。去年 軽微犯罪審査委員会が扱った事件のうち58%が単純窃盗で、その次が他人が忘れていった品や、置いてあった品を持って来たというものでした。
確かに世の中では国を揺れ動かすような大きな犯罪が起きています。それに比べれば、トックックのお餅を盗んだり、他人の家の玄関前にあった荷物を持ってくるのは軽い犯罪ではあるとは思います。しかし日本の場合、窃盗はあくまで窃盗罪で、軽犯罪には含まれません。韓国人は人情深いとよく言われますが、ある意味で情に甘いという側面もあると思います。やはり子供たちに悪いことは悪いと教えるためには、大人たちの態度が大切だと思うのですが、私の考え厳しすぎるのでしょうか。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >