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ライフスタイル

ロッテの裁判

2017-03-22

玄海灘に立つ虹

ロッテの裁判
横領や背任などの罪に問われているロッテグループ創業家一族の初公判が20日、ソウル中央地裁で開かれ、一族がそろって裁判所に姿を見せました。

公判には被告人の出廷が義務づけられており、創業者の辛格浩(シン・ギョクホ、日本名:重光武雄)氏、格浩氏の次男で韓国ロッテグループ会長の辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)氏、東彬氏の兄の辛東主(シン・ドンジュ、日本名:重光宏之)ロッテホールディングス(HD、本社・東京)前副会長が出席しました。
裁判に被告が出廷するのは当然なことですが、問題は今年95歳の辛格浩氏は認知症の症状のある、車椅子に乗った老人だということです。そのため、裁判所でもここがどこで、何をしているのか、分からない様子でした。そして日本語交じりの発言が続いたとのことです。裁判官と辛格浩氏の対話はこんな風でした。

裁判官  辛格浩被告。こちらを見てください。正面をみてください。 辛格浩被告これから裁判を始めます。被告人、生年月日は?
辛格浩  なんだと 何を言ってるんだ
裁判官  もういいです。今、裁判中だということを分かっていますか
弁護士  記憶が途中で途切れてしまうだけで、裁判を受けていると言うことは分かっています
辛格浩  なんだこれ、なんだよ。

結局、裁判はこの日20分あまりで終了したといいます。最後に辛格浩氏に対して発言権が与えられると95歳の老人は
「自分が100%持っている会社だ。どうして自分を起訴できるのだ。誰が自分を起訴したんだ。責任者は誰だ。自分を法廷に立たせる理由は何だ」
と叫ぶと、手にしていた杖を投げ捨てたと言います。そんな父の姿を見て両脇に座った息子や家族た ちは涙を流していました。
辛格浩統括会長は95歳という高齢である上、認知症がかなり進んだ状態です。そんな95歳の老人を法廷に立たせたことについて朝鮮日報はコラムで
13万人の従業員と売上高90兆ウォン(9兆円)を誇る韓国5大企業の創業者であっても、罪があるならば裁判で処罰を受けるのは当然だ。しかし、認知症を患い、自分が置かれた状況すら認識できない辛格浩統括会長にとって、同日の公判は犯罪の有無を判断する裁判の場ではなく、認知症患者を公の場で追及し恥をかかせる場にすぎなかった。日本など高齢化先進国では認知症患者に対する配慮は人権問題として扱われる。
と書いています。

辛格浩統括会長はいわば第1世代の財閥創業者です。サムスンの故イ・ビョンチョル会長、現代の故チョン・ジュヨン会長と同じ世代です。しかし国内での評価はサムスン、現代の二人の創業者に比べてなぜか低いものがあります。この点を日本の雑誌「SAPIO」は昨年11月、「あまりに過酷な韓国の在日同胞差別」という特集記事で、ロッテに対する検察の捜査を在日同胞出身の企業経営者に対する差別だと非難したといいます。
これまでにも罪に問われた財閥のトップが車椅子姿で法廷に姿を見せることはありました。しかし95歳の認知症の患者というのは今回のロッテの場合が初めてです。やはりもう少し人間的な配慮があっても良かったような気がします。

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