メニューへ 本文へ
Go Top

ピープル

演劇評論家出身の芸術監督、キム・ユンチョル

2016-04-12

韓国を代表する劇団の一つ、国立劇団。国立劇団は、2年前の2014年から、韓国の「近現代戯曲の再発見」シリーズを舞台にのせています。4月6日、演劇「甘い汁、ございます」で今年の「近現代戯曲の再発見」シリーズがスタートしました。1966年に書かれた「甘い汁、ございます」は、小心者で正直者だったサラリーマンが人が変わったように、手段を選ばず出世していく過程を描いた作品です。

一般の公演場ではなかなか見る機会のない韓国の近現代戯曲を舞台にのせたのは、国立劇団の芸術監督、キム・ユンチョルさんです。1949年生まれ、今年67歳になるキム・ユンチョルさんは、国立劇団の芸術監督だけではなく、韓国芸術総合学校の演劇院院長、国立芸術資料院院長、韓日演劇交流協議会初代会長、韓国演劇評論家協会および国際演劇評論家協会会長など、さまざまな経歴と肩書きを持つ演劇界の有名人です。面白いことに、彼は演劇関連の専攻ではなく、教師になるための師範学校を卒業しています。高校時代に演劇の面白さを知った彼は、ある日、大学に行かず、演劇をしたいと宣言しました。そんな彼に、父親は自分の力で食べていけることを証明すれば認めると言いました。師範大学にいけば教師資格証が取れると思ったキム・ユンチョルさんは師範大学に進んだのです。


大学に入ってからも演劇サークルで活動していたキム・ユンチョルさんは、大学を卒業した後、劇団を作って俳優としてデビューしました。しかし、声帯を痛め、演技をあきらめるしかありませんでした。その後、演出の仕事にも挑戦しましたが、一人でいる時間が好きな彼に演出は向いていませんでした。彼に残された分野は演劇に関する勉強しかありませんでした。演劇について学ぶため、アメリカへの留学を決心したキム・ユンチョルさん。現代アメリカ戯曲で博士号を取った彼は、1989年、韓国に戻ってきました。韓国の演劇界で何をすべきか悩んでいたキム・ユンチョルさんに、演劇界の友人たちは韓国の演劇界に必要なのは評論だと強調しました。その言葉に刺激され、徹夜で、ある演劇のレビューを書き、これがきっかけとなって演劇評論家として活動することになります。キム・ユンチョルさんは、演出や舞台の視覚的要素、公演芸術としての演劇について評価し、演劇評論の新しい理想と基準を提示しました。

韓国演劇のクオリティを高めるため、「辛口評論家」として活動してきたキム・ユンチョルさんは、韓国演劇の世界進出の基盤も作りました。2008年、国際演劇評論家協会会長に就任し、海外との交流を通じて韓国の演劇をグローバル化させるために努力しました。韓国演劇を発展させるため、黙々と働いてきた彼は、2014年、思いがけず国立劇団から芸術監督を依頼されます。

国立劇団の芸術監督に就任したキム・ユンチョルさんが最初に取り入れたのはシーズン団員制度でした。生涯雇用制度が廃止され、公演があるたびにオーディションを通じて俳優を採用しなければならず、国立劇団としての品格を失ったと判断したのです。一定期間、国立劇団の所属となるシーズン団員制度を通じて、優秀な団員を確保したキム・ユンチョルさんの次の悩みは国立劇団の名にふさわしい演劇レパートリーの選定でした。彼が選んだのは、「近現代戯曲の再発見」シリーズでした。キム・ユンチョルさんは、2014年からこれまであまり注目されることのなかった韓国の近代戯曲を舞台にのせ、観客や演劇界から高く評価されています。

国立劇団の芸術監督の任期は3年。キム・ユンチョルさんの任期は1年あまりしか残っていません。人々から忘れられた名作を発掘し、海外の演出家との共同作業を通じて韓国演劇のグローバル化を目指す彼にとってこれからの1年はこれまでの2年間より、忙しく、それだけに充実した時間になることでしょう。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >