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ピープル

世界多文化博物館の館長、キム・ユンテ

2016-07-05

ソウルの北部、恩平区(ウンピョンク)にある世界多文化博物館。この博物館には世界およそ50カ国から集められた4千点あまりの記念品が展示されているだけではなく、体験イベントを通じていろいろな国の料理や楽器、伝統衣装、文化に触れることができます。

グローバル時代、多文化時代と言われますが、時間的な問題や経済的な理由で世界を旅する機会はなかなかありません。今年40歳になるキム・ユンテさんは、2008年、海外旅行に出かけられない人たちにも、さまざまな国の文化について知り、触れてもらいたいという願いを込めて世界多文化博物館を設立しました。世界多文化博物館は私立の博物館のため、オープンした当時はかなり苦労したのですが、9年目を迎えた今は、各国の大使館から展示物の賃貸や寄贈などがなされるようになりました。



世界多文化博物館の館長、キム・ユンテさん。大学生の頃の彼は、自分が多文化博物館の館長になるとは夢にも思いませんでした。大学でオペラを専攻したキム・ユンテさんは音楽と旅行が好きで、旅先で買った記念品を集める趣味を持った平凡な青年でした。大学を卒業した彼は専攻を活かして、子どもたちを対象にした音楽教育の事業を立ち上げました。歌や楽器を教えるだけではなく、外国人の先生が英語で音楽の授業を進めるものでした。しかし、授業を進めているうちに、音楽や文化に関する内容はなく、英語だけを強調する教育に、キム・ユンテさんは疑問を感じるようになりました。グローバル時代は相手の心、その国の文化を理解するのが先だと思ったのです。音楽を通じて外国の文化を知ってもらいたいと考えた彼は、思いきって外国人の先生が韓国語で授業を進め、授業の内容も各国の文化を体験できるものに変えていきました。たとえば、イタリア人の先生はイタリアの伝統衣装を着て教室に入り、イタリアの仮面や伝統楽器などを使った授業をしました。



子どもたちにもっといろいろな国の文化を知ってもらうため、さまざまな国を訪れ、授業に必要なものを買い集めていたキム・ユンテさんは、ある日、小さな博物館を作ってみようと思い立ちます。小さな博物館に世界各国の伝統衣装や楽器、オルゴール、人形、貨幣などを展示すれば、多くの人に音楽教育の事業について紹介することができ、苦労して集めた記念品の管理もしやすいだろうと考えたのです。

2008年、キム・ユンテさんは若者の街、弘益(ホンイク)大学界わいに一戸建て住宅を借りて、世界多文化博物館をオープンしました。規模は小さくても、充実した展示物が口コミで知られ、多文化博物館には大勢の人が訪れました。こうした反応に勇気づけられたキム・ユンテさんは、本格的に多文化博物館を運営することにし、2012年、ソウルの北部、恩平区に5階建てのビルを建て、多文化博物館を移します。多文化博物館に入ると、1階には、ロシアにある聖ワシリイ大聖堂、イタリアのミラノ大聖堂、モンゴルの伝統的な移動式住居ゲルなどそれぞれの国を象徴する建物などのミニチュアが展示されています。そして、2階には中国とタイ、エジプト館、3階にはイタリア館とオルゴール楽器館が設けられています。体験館になっている4階では、さまざまな国の伝統衣装を着てみたり、楽器を演奏してみたりすることができます。各国の料理を作って味わえるのも4階の体験館です。また、5階は企画展示室で、多彩なテーマの展示会が開かれています。



外国からサイズの大きい展示物を入れてくる過程で壊れてしまうことや刀など国の許可が必要な展示物もありますが、博物館を訪れる人たちの興味津々な顔を見ているとキム・ユンテさんは苦労を忘れ、やり甲斐を感じます。

来年、開館10周年を迎える多文化博物館の館長、キム・ユンテさんは博物館での展示や体験イベントにとどまらず、博物館を訪れる機会のない人たちのために出張展示会を企画したり、多文化家庭のために無料の結婚式を企画したりするなど、より多くの人に世界の文化を紹介するために努力しています。世界各国の文化の違いと価値を紹介する多文化メッセンジャーの役割を果たしているのです。

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