ことし8月に就任した外交部の鄭炳元(チョン・ビョンウォン)次官補が26日に、就任後初めて日本を訪問し、外務省の船越健裕・外務審議官と両国の関心事について議論しました。徴用被害者への損害賠償問題についても意見が交わされたものとみられます。
鄭次官補と船越審議官は、安全保障や経済、人的交流などさまざまな分野でのことしの韓日関係の成果を振り返るとともに、来年も両国が未来志向の協力を発展させるため、外交当局間の意思疎通を続けることで一致しました。
この日の会談では、徴用被害に対する損害賠償問題の解決策についても議論されたものとみられます。
この問題をめぐっては、2018年に最高裁判所にあたる韓国の大法院が、元徴用工やその家族など、原告の勝訴を確定したのに続き、先週、同様の別の裁判でも、大法院が被告の日本企業に賠償を命じる判決を確定しました。
韓国政府は、ことし3月に、韓国政府傘下の財団が日本企業の賠償金の支払いを肩代わりすることを政府の解決策として発表しましたが、この解決策の実現可能性をめぐり、疑問の声が上がっています。
一部の原告は、被告の日本企業からの直接の支払いを求めていて、財団による支払いを拒否しています。
さらに、先週、原告勝訴の判決が確定したことで、賠償金の支払いの対象となる人数が増え、今後、さらに増える可能性があることから、財団が支払いのために確保した基金が底をつく可能性があるためです。
日本政府は、元徴用工への賠償は、1965年の日韓請求権協定で解決済みとする立場を維持していて、韓国政府が設立した基金への日本企業の参加にも慎重な姿勢を示しています。
外交部の当局者は、「企業に対して政府レベルで自発的な貢献を催促することはできないが、今後進展があることを期待している」と述べています。