韓国でマーズ=中東呼吸器症候群の感染者が増えているなか、海外の学者を中心に、韓国保健当局に対し、情報の共有を求める声が高まっています。
イギリス・ロンドン大学の感染症専門のアリムディン・ツムラ教授は3日、ロイターとのインタビューで、韓国でマーズの感染者が拡大していることについて、「対応が遅く、保健当局は外部からの支援を受けるのに積極的ではない」と懸念を示したうえで、「韓国の保健当局は、状況を公開し、データを共有しながら、海外の専門家による支援を受れ入れるべき」と述べました。
また、イギリス・レディング大学でウイルスを研究しているベン・ニューマン教授は、ロイターに対し、「サウジアラビアのケースからもわかるように、積極的で透明な対応が公衆衛生だけでなく、公共政策においても望ましい」と述べ、積極的な情報公開を呼びかけています。
これに先立って、WHO=世界保健機関でマーズ対応を担当しているピーター・ベン・エムバレク氏は、国際学術誌「サイエンス」で、マーズのウィルスが変異を起こした可能性や韓国人が遺伝的にマーズに弱い可能性に指摘し、韓国人が感染したウイルスの遺伝子塩基配列の分析に向けた情報共有を求めています。
マーズは、2012年に初めて確認されたウイルス性の感染症ですが、どのようにして感染するかなど、まだわかっていないことが多く、ワクチンは開発されていません。