韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が、元徴用工問題の解決策として「記憶人権財団」と名付けた基金の設置案を示したことについて、日本政府は「政府としてコメントすることは差し控えたい」として、言及を避けました。
文喜相国会議長は、元徴用工問題の解決策として、韓日両国の企業と国民が参加して「記憶人権財団」を設立し、被害者に慰謝料を支払う案を示していましたが、これに加えて、韓国政府は財団の運営費を出し、日本政府は2015年末の慰安婦合意にもとづき出資した「和解・癒やし財団」の残金を基金に組み入れる形で参加させるなど、より具体化した案を示しました。
日本政府内閣官房の西村明宏官房副長官は27日、官邸での記者会見で 文喜相国会議長がまとめた基金案について 「韓国の国会で模索されているものだ。他国の立法府における議論であり、政府としてコメントすることは差し控えたい」と述べるのにとどまり、明確な立場の表明を避けました。
今月6日には、菅義偉官房長官も「他国の立法府の議論についてコメントは差し控えたい」と今回と同じ趣旨の発言をしており、基金案についてコメントしないという日本政府の一貫した姿勢がうかがわれます。
一方、元徴用工被害者は、基金案に対して冷たい反応を見せています。 徴用工被害者を支援する団体の1つは、文喜相国会議長が示した案について「議論する価値のない欠陥だらけの案だ。被害者への配慮が全くなされておらず、韓国で日本企業の財産が差し押さえされるのを食い止めようという誤った判断から出た提案だ」と批判しました。