韓国の半導体業界は、サムスン電子による世界初の3ナノ半導体の生産など輝かしい成果を出している一方で、アメリカが提案する半導体同盟「チップ4」への参加をめぐって頭を悩ませています。
「チップ4」は、アメリカが中国をけん制するために、ことし3月、韓国、日本、台湾に提案した半導体同盟で、アメリカの技術と設備、韓国と台湾の生産施設、日本の材料を連携させる計画です。
安定したサプライチェーンを確保するだけでなく、半導体分野で急速な追い上げを見せている中国をけん制するという2つのねらいがあります。
ただ、韓国は、技術はアメリカ、市場は中国に依存しているため、どちらか一方に歩み寄るのは難しい立場にあります。
韓国の去年の半導体輸出の60%は中国市場向けであるうえ、中国に韓国企業の半導体工場が何か所もあるため、韓国が「チップ4」への参加を決めた場合、中国による輸入規制や企業に対する制裁などの措置がとられるのではないかというのが最大の懸念です。
一部では、韓国のDラム半導体の世界シェアは70%にも上るため、中国が自らもダメージを受ける輸入規制を行う可能性は低いとする声もあります。
しかし、2016年、アメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「サード(THAAD)」の国内配備をめぐって、中国が報復措置をとったことを踏まえれば、半導体と関連のない分野で報復措置をとる可能性も排除できないという見方もあります。
このため、「チップ4」に参加するとしても、参加前から持続的に中国と交渉し説得する必要があるとされています。
外交部の当局者は「アメリカの参加要請を『提案』と見るのは難しい」として、「サプライチェーンの安定のための最善策は何なのかを様々な角度から検討し協議を行っている」と語っています。