韓国の自動車大手、現代(ヒョンデ)自動車グループは、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、ロシアにある工場の稼働を停止していますが、状況が改善する兆しが見えないことから、ロシアからの撤退を決めました。
旧ソ連崩壊後の1990年代からロシア向けの輸出を行ってきた現代自動車は、2007年に現地法人を設立し、本格的にロシア市場に参入しました。
そして、2010年には、海外の生産拠点の6か所目をサンクトペテルブルクに設立し、2011年から現地生産をスタートしました。
この工場で生産された、ロシアの寒冷な気候に適した乗用車は、販売台数トップ3に入る人気を博しました。
2020年には、ロシアでの生産を拡大するため、アメリカの自動車大手、GM=ゼネラル・モーターズのサンクトペテルブルク工場を買収しました。この工場は、年間10万台の生産が可能です。
しかし、ロシアがウクライナに侵攻した去年3月以降、ロシアに対する国際社会の制裁により部品の供給が滞り、現代自動車は、工場の稼働停止を余儀なくされました。
現代自動車のロシアでの販売は、2022年は12万2600台と前の年に比べ7割近く減り、ことしはさらにその10分の1以下の1万1150台にとどまりました。
こうしたなか、現代自動車はロシアからの撤退を決め、ロシアにある2つの工場を現地メーカーにほぼ無償で売却しました。
ただ、2年以内であれば買い戻すことのできる条件付きで売却したため、ウクライナ情勢が安定したあと、ロシアに再進出する可能性は残っているということです。