アメリカのリッパート大使は5日午前7時40分頃、講演を行うために訪れたソウルの講演会会場で、会場内の別のテーブルに座っていた男に突然ナイフで切りつけられ、病院で治療を受けています。
目撃者によりますと、取材陣を含め、およそ200人が詰めかけた会場では、午前7時半ごろから、講演会に先立つ朝食が運ばれ始めていて、リッパート大使は講演のため出席し、最前列のテーブルで関係者と歓談していましたが、7時40分ごろに、別のテーブルに座っていた男がテーブルに歩み寄り、あいさつを求め、立ち上がった大使を突然刃渡り25センチの果物ナイフで切りつけたということです。
男は、その場で取り押さえられ逮捕されました。
大使は、右の頬と左腕を切り付けられ、病院で2時間半にわたって手術を受けました。
頬の傷は、頬骨からあごにかけて長さ11センチ、深さは3センチで、神経などの損傷はなく、機能面での後遺症は残らないものとみられ、傷跡は、2年ほど経つと目立たなくなるだろうと病院では説明しています。
また、腕の傷は、ナイフが通り抜けたもので、小指の神経が損傷し、1年ほどは感覚の低下が予想されるということです。
大使は、あと3、4日、病院に入院し、治療を受けるということです。
一方、逮捕された男は反日、反米を訴えて活動している54歳の男で、逮捕された時には、「なぜ、韓国で戦争の訓練をするのか」、「2日から韓国で行われている韓米合同軍事演習に反対する」などと叫んでいたということです。
また、逮捕後に記者らに対し、「韓米合同軍事演習であるキーリゾルブ訓練に反対する。戦争訓練のせいで離散家族が再会できなかった」と繰り返し述べたということです。
警察では、事件の経緯や犯罪に及んだ動機などについて、詳しく取り調べを進めています。