大韓航空の前副社長の趙顕娥(チョ・ヒョナ)被告が乗務員のナッツの出し方に激怒して、滑走路に向かっていた自社の飛行機を引き返させた事件で、当時趙被告に暴行などを受けた女性乗務員がアメリカで趙被告と大韓航空を相手取って訴訟を起こしました。
アメリカのAP通信やブルームバーグなどによりますと、ナッツの出し方が悪いなどとして大韓航空の前副社長の趙顕娥被告から暴言を浴びせられ、暴行を受けた女性乗務員が現地時間の10日、ニューヨークの裁判所で趙被告と大韓航空を相手取って損害賠償を求める訴えを起こしたということです。
この乗務員は訴状で、趙被告が機内で自分を侮辱する言葉を浴びせたあと、暴行したとしています。
また弁護人は声明で、「大韓航空は趙被告の評判を取り戻すため、この乗務員にうその供述を強要した。今回の事件でこの乗務員は精神的苦痛など大きな被害を被った」と主張しています。
この乗務員は、1月の趙被告の裁判でも証人として出廷し、大韓航空側が教授職を持ちかけながら自分を懐柔しようとしたと供述していました。
この乗務員がアメリカで訴訟を起こしたのは、アメリカの裁判所が、韓国の裁判所に比べて、精神的な損害に対する賠償責任を厳しく問う傾向があるためとみられます。
一方、大韓航空は「訴状が届いておらずコメントできない」としています。
趙被告は、先月12日の1審判決で航空機の航路変更罪や航空機安全運行阻害暴行罪などが認められ、懲役1年の実刑判決を言い渡されましたが、翌13日にこれを不服として控訴しています。
趙被告は、機内サービスの責任者からも訴えられる可能性が高いとされていて、今後の行方が注目されます。