2012年の大統領選で選挙介入を指示したとして、公職選挙法違反などの罪に問われた韓国の情報機関・国家情報院の元院長、元世勲(ウォン・セフン)被告の上告審判決が16日、日本の最高裁判所に当たる大法院であり、懲役3年の実刑判決を出した原審判決を破棄し、審理を高等裁判所に差し戻す判決が言い渡されました。
元世勲被告は、2012年の大統領選挙の際、国家情報院長として、野党候補に不利な内容をネット上に書き込むよう職員に指示するなど選挙に介入し、政治への介入を禁じた国家情報院法と、公務員の選挙への介入を禁じた公職選挙法に違反した罪に問われて、起訴されました。
一審は国家情報院内の組織、心理戦団の書き込みなどが国家情報院法違反に当たるものの、特定候補への支援や選挙介入に対する指示はなかったため、公職選挙法には違反していないとして、懲役2年6か月、執行猶予4年を言い渡しました。
そして、今年2月の二審は、2012年8月に朴槿恵(パク・クネ)大統領が与党セヌリ党の候補となってから、心理戦団の書き込みなどが急激に増えていることや、野党候補を非難する内容だったことなどを指摘し、公職選挙法違反罪も認め、懲役3年の実刑判決を言い渡し、法廷内で被告を拘束しました。
これについて、大法院は22日、「原審が証拠能力に関する法理を誤解し、事実関係の判断を誤っている。検察が提出した重要な証拠であるメールの添付ファイルだが、その証拠能力が認められず、原審の事実関係は維持できなくなった」として、審理を高等裁判所に差し戻す判決を言い渡しました。
元世勲被告からの保釈の申請については、棄却しました。