政府が東京電力福島第一原子力発電所に派遣した視察団は31日、記者会見を開き、福島第一原発の汚染処理水の安全性について確認した結果を説明しました。視察によって意味のある進展がみられたとする一方で、最終判断にはさらなる分析が必要という立場をあたらめて強調しました。
視察団長の劉國熙(ユ・グッキ)原子力安全委員長は31日、「汚染水を多核種除去設備(ALPS)で処理する前と後の放射能濃度の未加工データを東京電力から入手した」としたうえで、「ALPSの放射性物質の除去性能と、長期間、安定運用できるかについて重点的に点検した」と説明しました。
視察団は、東京電力が毎年分析を行っている64の核種の濃度について、2019年から4年間稼働した設備のデータを入手し、この中で一定水準以上の濃度が比較的頻繁に検出された10種類あまりの核種については、濃度を週1回測定したデータの共有を受けました。
また、ALPSで使用する放射性物質の吸着材の交換時期を東京電力に確認したところ、8000トンの汚染水を処理したあと、週1回の濃度分析で浄化能力が低下したと判断される場合に交換すると答えたということです。
ALPSで除去できないトリチウム(三重水素)の希釈・放出設備については、「海水移送ポンプが、希釈目標を達成できる十分な容量で設計されていることを確認した」と述べました。
そのうえで、「トリチウム濃度を確認するための試料採取と分析については、汚染処理水の希釈前後に毎日1回ずつ実施する計画であることを確認した」と付け加えました。
劉委員長はまた、「今回の視察を通して、主要設備が設計通りに設置されており、異常が発生した際に汚染処理水の放出を遮断するための手段も確認した。具体的な資料も確保し、科学技術的な検討において意味のある進展があった」と評価しました。
ただ、「より精密な判断を行うためには、追加の分析と確認が必要だ」としたうえで、「長期間の運用については、現時点で想定できるトラブルのケースを分析し、ALPSの長期点検項目やメンテナンス計画を追加で確認して判断する」と明らかにしました。