韓国軍の合同参謀本部は、北韓が20日の朝に発射したSRBM=短距離弾道ミサイルは、韓国国内のアメリカ空軍基地などを攻撃目標と想定したものと分析しています。
合同参謀本部によりますと、北韓は20日午前7時ごろ、西部の平安南道(ピョンアンナムド)粛川(スクチョン)から、韓半島東の海、東海(トンへ)に向けて、2発のSRBMを発射しました。
ミサイルはそれぞれ、およそ390キロと340キロ飛行し、東海上に着弾したとうことです。
発射地点の粛川からの距離を計算すると、韓国中部の忠清北道(チュンチョンブクト)清州(チョンジュ) にある、戦闘機F35Aが配備されている韓国空軍の基地や、ソウル郊外の京畿道(キョンギド)烏山(オサン)と、西部の全羅北道(チョンラブクト)群山(クンサン)にあるアメリカ空軍基地が射程距離に収まるため、これらの基地を攻撃目標と想定したものと分析されています。
これらの基地は、19日に行われた韓米合同飛行訓練で、韓米空軍の戦闘機がそれぞれ離陸した場所です。
北韓の朝鮮中央通信は、20日に発射した2発のミサイルについて、「戦術核を使用した攻撃手段である600ミリ超大型放射砲」と発表しています。この放射砲は、誘導機能を持ち、弾道ミサイルと似た軌道で飛ぶため、短距離弾道ミサイルのカテゴリーに入ります。
朝鮮中央通信は、「韓米が19日にアメリカ軍の戦略爆撃機B1Bやステルス戦闘機F35などを投入して、またも合同訓練を実施した。ことしに入り、何度も合同飛行訓練を行って、軍事的緊張を高めている」と指摘し、ミサイルの発射が韓米合同飛行訓練に対抗したものであることを明らかにしました。
北韓メディアは通常、武力挑発の翌日にその事実を伝えていますが、朝鮮中央通信はこの日、発射から1時間17分後という異例の速さで報じています。
一方、韓国軍合同参謀本部の関係者は、北韓が発射した短距離弾道ミサイルについて、核弾頭を搭載できる可能性は少ないとの見方を示しました。北韓は、核弾頭の小型化にはまだ成功しておらず、追加の核実験が必要だということです。
合同参謀本部はまた、「北韓の相次ぐ弾道ミサイル発射は、韓半島だけでなく国際社会の平和と安定を損なう重大な挑発行為であり、国連安全保障理事会の決議に対する明白な違反だ。これを強く糾弾し、即座に中止するよう促す」と表明しました。
北韓は18日にも、ICBM=大陸間弾道ミサイル「火星15」を発射しています。
北韓が最新型のICBMである「火星17」ではなく「火星15」を発射したのは、「火星15」は開発と量産を終え、実戦配備に至ったと誇示する意図もあるものとみられます。
「火星15」は2017年11月に初めて発射された液体燃料型のICBMで、射程が1万キロを超え、アメリカ本土に届くとされています。
★2023年3月2日修正