韓国文化シリーズ第38回の今日は、“チャンスン”というテーマで韓国文化を探っていきたいと思います。
チャンスンの姿を描写するならば、手も足もなく、ぶっきらぼうに突っ立っている体に、顔の部分だけが刻まれている姿。ぎょろっと飛び出した目玉に、平べったい団子っ鼻。犬歯が突き出し、笑っているのか泣いているのかわからない奇怪な表情。これがチャンスンの特徴なんです。昔は村の入り口ごとにこのシャンスンが立てられていました。男の形をしたチャンスンには、体の部分に“天下大将軍”、そして女の形をしたチャンスンには“地下女将軍”という文字が刻まれていました。こうして対になり村を守る役割を果たしていたということです。こうしたチャンスンの表情に関して、ある人は、滑稽な表情だと言い、またある人は、奇怪だと言います。これは、チャンスンを見つめる人の心が投影されていると見ることもできるかもしれません。そのため、善良な心の持ち主が訪れた場合には、これを歓迎し、また悪徳な人物が来た場合は、その足を止めさせ、来た道を戻るよう祈願して作られたのではということなのです。チャンスンは村の守護神としての役割もありましたが、道端に立ち、道しるべの役割も果たしたと言われています。
チャンスンがいつ頃、どういった由縁で立てられるようになったのか、確かなことはまだわかっていません。けれど、古代の性器崇拝信仰や、民間の信仰のひとつであった、ソンドル、ソッテの風習から来ているとする見方が有力のようです。また、トケビと言われる鬼の顔や、土俗的な仮面のイメージからそのヒントを得ているという考え方もあるそうです。チャンスンは、地域によって作られる材料や形も少しずつ違います。ホナムやヨンナムといった南道地方では、石で作られることが多く、京畿道や忠清道地方では、主に木で作られたといいます。さらに石で作られたチャンスンは、平べったく、丸みを帯びた南方系の顔であるのに対し、木造のチャンスンは、顔が長く、目が切れ長で、鼻も長い北方系の顔であるというのが特徴です。韓国は国土は狭くても、多様な文化が混ざり合って発展してきたということを、このチャンスンの顔つきからも推測できますよね。済州島では、トルハルバンと言われる石の像がチャンスンの役割を担ってきました。このトルハルバンは本土のチャンスンの奇怪な姿とは異なり、自愛に満ちた表情で、済州島に来る人々を迎えているのです。
♬ 赤壁歌の中から、チャンスンタリョン
♬ ピョンガンスェタリョン
♬ 済州民謡、シナウェギソリ