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文化

高麗の歌謡曲

#国楽の世界へ l 2016-07-27

国楽の世界へ

高麗の歌謡曲
高麗の首都、開成(ケソン)は、今私たちが想像するよりはるかに国際的な都市であったようです。北韓の中部地域から発する礼成江(イェソンガン)という川の下流に、碧瀾渡(ビョクランド)という都市がありました。世界各国からの商人で込み合った場所です。この時期に世界中を行き来しながら貿易をした人々は、ほとんどがイスラムの商人です。高麗時代には、イスラムの商人が運んできた水銀や没薬のようなものが、珍しい貢物とされました。開成には、イスラムの人々が自分たちの固有な言語と衣装、文化を保って生活できる共同体もあったそうです。今でいえば、チャイナタウンのようなところなのでしょう。高麗の歌謡曲の中に、その様子を垣間見られるものがあります。餃子屋という意味の「サンファジョム」という歌です。霜という漢字を「サン」と発音しますが、窓ガラスにできた花模様の水蒸気に似ているということから、こういう風に名付けられました。餃子を買いに行ったところ、イスラムのオーナーが自分の手首をつかんでからかってきたという内容です。今日は、この曲を基に作られた童謡、「おいしいサンファ」という曲を、ハンウム子供合唱団の歌で、お楽しみください。

童謡「おいしいサンファ」は、昔の歌を基にして、子供たちも親しみやすいように作ったものです。しかし、内容は子供向けではありません。まず、一節は餃子屋のストーリーです。その後は、お寺の僧侶、井戸の竜、飲み屋のオーナーなど、色んな人物が登場します。しかし、どれも乱れた不倫の歌なのです。高麗の忠烈(チュンリョル)という王が、王のための公演団を作って、演劇だけでなく、このような歌を歌わせたという記録があります。そのため、このサンファジョムという曲を、支配階層の堕落した姿を風刺した歌だと見ることもあります。歌を通じて昔の多様な人々の暮らしと考えが読み取られるのは、極めて楽しいことです。次の曲も高麗の歌謡曲です。「サンジョカ」という曲で、穀物を搗く、「臼の歌」という意味です。穀物を搗いて両親のためにご飯を炊き、余ったら自分も食べるという歌詞です。貧しくても心は豊かになる歌です。高麗の歌謡曲、「サンジョガ、臼の歌」を新しく構成した「シンサンジョガ」という曲をお楽しみください。

当時の支配階層は、主に漢文を使用して歌を作りました。その内容も、景色の良い場所を探し歩きながら遊興を楽しむのが多かったようです。それに比べて高麗の歌謡曲は、高麗時代の民の歌です。彼らの暮らしを有りのまま盛り込んでいます。ハングルができると、これらの歌は歌集に載せられました。しかし、朝鮮時代には、支配階層の気を触る内容の歌は、その多くがなくなったものと推定されます。今ではその内のいくつかだけが残っているのです。高麗の歌謡曲で最もよく知られているのは、「チョンサンビョルゴク」と「カシリ」という曲です。今日の最後は、この二曲のうち別れを歌う「カシリ」という歌をお送りいたします。イム・ジュンヒさんが作曲した「カシリ」をチョン・マリさんの歌でお楽しみください。

愛する人との別れを痛ましく思いながら歌った曲で、その切ない気持ちを表現しています。心を打つ歌詞です。数多くの別れの歌の中でも、一番とされる曲なんです。

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