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文化

「クェ」ほか

#国楽の世界へ l 2023-09-12

国楽の世界へ

「クェ」ほか
韓国の伝統的な弦楽器コムンゴは、全ての楽器の中で最高だという意味の「百楽之丈(ベガクチジャン)」と呼ばれます。コムンゴは、その始まりから平凡ではありませんでした。高句麗の時代、王山岳(ワンサンアク)という官吏が、中国から入ってきた弦が七つの琴、七絃琴という楽器を改良し、コムンゴを作りました。彼がコムンゴを演奏すると、黒い鶴が飛んできて踊ったとのことです。鶴は縁起が良いとされ、古代には黒が空と宇宙、万物の道理を意味する色だとされました。つまり、コムンゴを演奏するとき、黒い鶴が飛んできて踊ったということは、コムンゴが天と通じる縁起の良い音色だという意味なのです。統一新羅時代の玉寶高(オクボゴ)というコムンゴの演奏者は、後に神仙になったと言われます。それ以来、学者ソンビは、自分の心を治める方法としてコムンゴを演奏しました。そのような背景から、コムンゴが、「百楽之丈」と呼ばれるようになったようです。そんなコムンゴですが、朝鮮時代後期、心を揺るがすようなジャンル、散調(サンジョ)の演奏で用いられるようになると、当時の学者らは、世の中も終わりだと嘆いたものです。今日の若者は、コムンゴで様々な試みをしています。今日の最初は、「シン・クェドン流のコムンゴ散調」を元に作った音楽です。

昔のソンビは、自分が演奏するコムンゴに詩を刻むこともありました。これを、「琴銘(クムミョン)」と言います。チャン・ユラというソンビが記録した琴銘からは、澄んだ清らかな音色に感嘆する気持ちが感じられます。最近の若いミュージシャンは、コムンゴに詩を刻む代わりに、自分が直接音楽を作り、説明を付けます。テレビの出演をきっかけに注目されているコムンゴの演奏者、パク・ダウルさんは、コムンゴをおもちゃに例え、「コムンゴおもちゃ」という曲を作りました。ただ面白かったけれど、今はもっぱら面白いだけではなく、あまり深く考えなかったけれど、今は考えてしまうと、説明を付けました。自動車の広告の音楽としても用いられ、聴いたことがある方もいらっしゃるかも知れません。

今度は、真剣なコムンゴの演奏者として注目を集めている、ファン・ジンアさんが作った「黒い森」という曲です。彼女は、自分の音楽に対し、このような説明を付けています。少女は何かに惹かれるようにして黒い森に到着した。何ものが彼女を呼んだのかは分からないが、彼女は黒い森に入った。一歩一歩進むほど、長い葉っぱと岩のコケが、歩いてきた道をふさいでいた。進むほど彼女は泣きそうになったが、いまさら戻ることもできなかった、との説明です。少し暗く、恐ろしいけれど、止まることのできない足踏み、それが最近のコムンゴの演奏者が表現している試みだとのことです。コムンゴは全ての楽器の中で一番とされた楽器ですが、現代に入っても今の時代に合わせて変化を遂げています。

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