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歴史

プロスポーツ時代の開幕

2015-06-30

プロスポーツ時代の開幕
今から32年前の1982年3月27日、韓国のスポーツ界は大きな変化を迎えました。1904年、アメリカ人の宣教師によって韓国に伝えられた野球。それから78年が経った1982年、韓国に始めてプロ野球が登場し、韓国はアメリカ、カナダ、メキシコ、日本に次いで世界で5番目にプロ野球を導入した国になりました。8つのチームでスタートしたプロ野球によって、韓国にもプロスポーツの時代の幕が上がりました。

1981年、第12代韓国大統領に就任した全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領は、民主化運動をはじめ、言論の自由まで掌握する鉄拳統治を繰り広げました。こうした中、1981年9月に1988年のソウルオリンピックを誘致し、翌年の1982年にはプロ野球をスタートさせました。全斗煥政権がスポーツを重視していたことについて国民の不満をそらすための愚民化政策だったという批判もあります。

スポーツを政治的な道具に利用したという批判がありましたが、プロ野球は当時の韓国社会を熱狂させました。統計によると、プロ野球がスタートした1982年、1年間のプロ野球観客数は158万9千人あまり。韓国野球委員会、KBOの予想を越える人気ぶりでした。プロ野球の人気は、活気あふれるユニークな応援文化を生み出し、地域の発展にも大きな役割を果たしました。

プロ野球の成功はプロスポーツ時代を導き出しました。韓国の伝統的なスポーツの一つ、シルムも1983年4月13日、「天下壮士(チョンハ・チャンサ)、シルム大会」という名でプロスポーツの仲間入りを果たしました。円形の土俵で、壮士(チャンサ)と呼ばれる二人の選手が互いの力量を競うシルム。韓国のシルムは、一見、日本の相撲に似ていますが、相撲よりもダイナミックな動きが印象的なスポーツです。

最近は、他のエキサイティングなスポーツに押されて人気が落ち目ですが、1980年代には最高の人気を集めていたシルム。1983年にスタートした「天下壮士、シルム大会」の初日には1万5千人の観客が押し寄せました。プロスポーツとなったシルムは1990年代始めまで韓国を代表するスポーツでした。

プロのシルム団が登場してひと月ほどが経った1983年5月8日、サッカーもプロスポーツとして名乗りをあげます。プロチームを立ち上げる予定だった実業団チームまで合わせて5つのチームでスタートしたプロサッカー。プロサッカーは、20日間にわたって繰り広げられた初めてのリーグ戦に41万8千人の観客を集めるなど大きな人気を集めました。

プロスポーツは1980年代の韓国社会にさまざまな影響を及ぼしました。スポーツは韓国の人たちにとって最高の娯楽文化として根を降ろし、経済的にも大きな役割を果たしました。スター選手は広告のモデルに起用されるなど、韓国企業のスポーツマーケティング時代が本格化したのもこの時期でした。

1980年代始めのプロスポーツブームの裏には韓国政府の大々的なサポートがありました。当時、韓国政府はプロスポーツ球団に対して運動場の使用料を免除し、各球団の経営が黒字に転換するまで税金を優遇する制度も設けました。1980年代の韓国にはスポーツが必要でした。全斗煥政権は正当な手順を踏んで大統領に選ばれたのではなく、軍人から一国の大統領になったため、正統性を認められなかったのです。そんな全斗煥政権にとって、ソウルオリンピックの誘致は国民に認められる絶好の機会で、プロスポーツは国民の関心を分散させる最高の手段でした。1980年代のスポーツは、韓国最高の娯楽であると同時に、政治的な環境による限界を持っていました。

1980年代のプロスポーツは、政治に対する国民の不満を分散するための手段だったという評価もあります。しかし、競技場で最善を尽くす選手たちの姿が生活に疲れた韓国の人たちをいやしてくれる最高の娯楽となったのも確かな事実です。そして、80年代のプロスポーツに対する韓国の人々の熱い声援は、スポーツ強国を目指す韓国にとって大きな礎となっています。

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