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ⓒ YONHAP News
政府が今の高校2年生が大学入試を受ける2025学年度から医学部の定員を増やすという方針を発表し関心を呼んでいます。それも1000人、3000人という大幅な増員です。面白いのは、医大の定員増員に関して珍しく与野党がともに賛成していることです。何かと言えば角突き合わせている与野党がこの件に関しては意見を同じにしています
まず与党「国民の力」は
医大の定員は2006年から3058人で、19年間も変動なしに固定されています。その間にいわゆる「救急室のたらい回し」死亡事故が繰り返されており、特に地方の医療は危機に瀕しています。老人人口も増加し医療需要が爆増しています。2006年当時65歳以上の高齢者は458万6000人で人口の9.5%でしたが、2022年には901万8000人で人口の17.5%を占めています。2025年には20.6%まで増加します。保健社会研究院の推算によればこのままいけば2035年基準で2万7232人の医師が不足するということです。
そして最大野党の「民主党」は
小児・青少年科と産婦人科、胸部外科、救急外来の医師は絶対的に不足しており、地方では医師と病院が無いため朝早くからKTXに乗って患者はソウルまで上京しなくてはなりません。一方で皮膚科や整形外科は増え続けています。ただ単純に医師の数だけ増やすのではなく、医大の定員拡大とともに公共医療人材養成のための公共の医大である国立保健医療専門大学院の設置と地方で勤務する地方医師制度を共に推進するべきです。と主張しています。
これに対して大韓医師協会などの医師団体は定員拡大ではなく、医師の配置が問題なのだとして反対の立場を表明しています。実は医大の定員拡大に関してはすでに2020年に政府と医師団体が衝突しています。当時から医師団体は 
医師が不足しているのではなく、地方と専門、病院・医院の類型別の配置がバランスよくできていないのが問題です。医療脆弱地域は住民の数も少ないため、病院が定着しにくいのです。地域間の医療格差をなくすためには、単に医師の人数を増やすのではなく、地方により高い医療報酬を適用するなどの支援策が必要です。
と主張し、2020年には専攻医9000人が1日ストを、病院も休診、医学部生は国家試験の受験拒否をするなどいろいろな影響がでました。今回も当時と同様に医師団体のストライキへと結びつくのでしょうか。そして定員を増やして、医大生が増えても、そのほとんどが卒業後、首都圏で皮膚科や整形外科を開院してしまっては何にもなりません。増えた医師が首都圏と人気の科に集中しないようにするにはどうすればよいか、専門家は
首都圏以外の地方大学の医学部が新入生を選抜する際に、その地方の高校の卒業者を一定割合選抜する「地域人材特別選考」を拡大すべきです。居住地域の医学部への進学者がその地域で医師として活動する割合は、他地域の出身者に比べて比較的高いと言えます。
と話しています。今回の政府の医大の定員拡大方針と関連し、もう一つ影響がでているところがあります。予備校と理工系の大学です。成績の良い理科系の高校生の進学希望の1番は何と言っても医学部です。その医学部の定員が数年後には増えるということで、現在通っている理工系の学部を退学あるいは休学する大学生が増えるのではないかということです。すでに医大進学のために通っていた大学を退学する学生が年々増えています。ソウル大学、延世大学、高麗大学の学生の中で中退した学生の数が2018年に1300人だったのが去年は2100人に増えています。就職難もあり安定した収入も就職先もある医学部の人気は常に高くなっています。医学部定員の増加が大学の特に理工系の学部からの学生の離脱を招く可能性もあるということです。

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