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ピープル

伽倻琴演奏者、ハン・テラ

2016-04-26

4月19日、ソウルの都心にある世宗(セジョン)文化会館で韓国とフランスの国交樹立130周年を記念して、日本の琴に似た韓国の伝統楽器、伽倻琴(カヤグム)の独奏会が開かれました。伽倻琴演奏者はハン・テラさんでした。

1981年生まれ、今年35歳になるハン・テラさんは6歳の時、韓国の伝統音楽、国楽の世界に入門しました。そして、10代の頃、すでに伽倻琴の天才と呼ばれ、注目されました。

伽倻琴を習いはじめて、韓国の伝統音楽、国楽特有の音があることを知り、伽倻琴に魅了されたハン・テラさん。当然のように、国立国学中学校と高校に進みましたが、その過程でスランプに陥りました。中学校に入る前にいくつかの流派に分かれている伽倻琴の伝統楽曲、伽倻琴散調(カヤグムサンジョ)をマスターしていた彼女は、中学校で同じレパートリーをやり直さなければなりませんでした。中学校の先生たちの勧めで、大学の教授の指導を受けることになりました。当時、25弦の伽倻琴が作られはじめ頃で、伽倻琴の新世界、また現代風にアレンジされた音楽を習うことができました。しかし、高校2年生になった時、ハン・テラさんに2度目のスランプが訪れます。伽倻琴から目をそむけ、1年を過ごしたハン・テラさんが、このスランプから抜け出したのはソウル大学の国楽科に進学し、国内外で演奏活動を始めてからでした。しかし、この時期にもハン・テラさんは音楽的な物足りなさを感じていました。周りの反対を押しきって、ハーバード音楽大学への進学を決心していたハン・テラさん。そんな時期、彼女に思わぬ機会が訪れます。



2010年、アメリカのサンフランシスコで独奏会を開いた時、ロックフェラー財団のアジアン・カルチュラル・カウンシルからアーティストとして彼女をサポートしたいと提案されたのです。2010年、ハン・テラさんはアジアン・カルチュラル・カウンシルのサポートで、留学生ではなく、アーティストとしてニューヨークで過ごすことになります。ニューヨークで実験音楽、前衛音楽、ジャズなどさまざまなジャンルの音楽に触れ、有名な作曲家やアーティストといっしょに作業するようになった
ハン・テラさん。こうした時間はハン・テラさんが感じていた音楽的な物足りなさを満たしてくれました。その後、ハン・テラさんはアメリカだけではなく、日本や中国、ヨーロッパなど、活動の範囲を広げていきます。彼女はより多くの人に韓国の伝統楽器、伽倻琴の魅力を知ってもらおうと、海外ミュージシャンとのコラボを企画したり、伽倻琴でポップソングや西洋のクラシック音楽を演奏します。

海外活動を通じて、さまざまなジャンルで第一人者と認められているアーティストたちと交流していたハン・テラさんは、伽倻琴の本質、つまり、伽倻琴が出せる最高の音が出せるのは、数千年の歴史を共にしてきた伝統音楽だと実感しました。伽倻琴の持つ最高の音を聞いてもらいたいと思った彼女は、2015年、2枚の伽倻琴独奏アルバムを発表します。一つは、12世紀、高麗時代の宮廷音楽「歩虚詞(ポホサ)」、もう一つのアルバムは、朝鮮王朝4代めの王、世宗(セジョン)が民と共に楽しむために作った音楽「与民楽(ヨミンラク)」です。2枚のアルバムを発表した2015年は、ハン・テラさんにとって特別な一年でした。ニューヨークのカーネギーホール開館125周年を祝う記念公演で、 伽倻琴の演奏を披露したのです。カーネギーホールでは初めて、1時間ほどかかる伽倻琴散調(カヤグムサンジョ)全曲が演奏されました。韓国のソナタといえる散調(サンジョ)は、韓国人の哀歓と情緒が凝縮された器楽独奏曲です。

国楽の世界に足を踏み入れて30年。さまざまな経験を経て、伽倻琴の華やかさと余白の美を学んできたハン・テラさんは、今、自分だけの音楽を作るために努力しています。そして、その作業過程を一人ではなく、他の人たちと共有したいと願っています。音楽は共にする時により美しく輝くと信じているのです。

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