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ピープル

韓国の伝統音楽に魅せられた外国人作曲家、ドナルド・ウォマックとトーマス・オズボーン

2016-05-03

4月22日、ソウルの中区(チュング)にある国立劇場では今シーズン初の国立国楽管絃楽団の公演が開かれました。この日の公演は、いつもよりちょっと特別なものでした。ハワイ大学で作曲と音楽理論を教えているドナルド・ウォマックさんとトーマス・オズボーンさんが作曲した韓国の伝統音楽がこの日、初めて演奏されたのです。ドナルド・ウォマックさんが作曲したのは、琴に似た楽器、伽倻琴(カヤグム)のための協奏曲「散ったリズム」。一方、トーマス・オズボーンさんは、一日の出来事を音楽で構成した国楽管弦楽曲「一日」を発表しました。



ドナルド・ウォマックさんとトーマス・オズボーンさんが韓国の伝統音楽、国楽に興味を持ち、曲を書き始めたのは今から8年前のことでした。この8年間、二人の作曲家は、韓国の音楽だけではなく、文学や歴史について勉強し、韓国の風景を見ながら韓国人の情緒に触れてきました。そして、今、彼らは音楽を通じて、韓国人とコミュニケーションしています。

ハワイ大学で教鞭を執っているドナルド・ウォマックさんとトーマス・オズボーンさは、2008年、ハワイ大学の作曲科の学生を対象に行われた伽倻琴に関するワークショップを通じて初めて国楽に触れました。中国や日本の伝統音楽を作曲した経験があるドナルド・ウォマックさんは、韓国の伝統楽器に好奇心がそそられました。伽倻琴の演奏を聞き、その音に魅了された彼は、伽倻琴の独奏曲「綱渡り」を作曲し、ワークショップを進めたソウル大学のイ・ジヨン教授に贈ったのです。「綱渡り」は拍子がややこしく、かなりテクニックが必要な曲で、今では現代的な伽倻琴の作品を勉強する時、マスターしなければならない作品になっています。

「綱渡り」を作曲したドナルド・ウォマックさんは韓国の伝統文化をモチーフにした曲を作っています。彼の作品のキーワードとなったのは「クッ」、韓国の祭礼や儀式でした。彼は、曲を作る時、単純な「クッ」の再現にとどまらず、自分なりの解釈と感想を盛り込もうと努力しています。たとえば、弓で弦を擦って音を出す「奚琴(ヘグム)」と管弦楽による協奏曲「魂の舞い」では、奚琴の演奏者を、踊り、歌いながら「クッ」という儀式を進め、「クッ」を見物しにきた人たちを魅了するシャーマン=巫堂(ムダン)と想像しながら曲を書いているのです。


一方、トーマス・オズボーンさんは、2011年、フルブライト財団の招へい学者として韓国を訪れています。9ヶ月間、韓国で伽倻琴を習いながら、日常生活で感じたことを楽譜に書き留めました。詩が好きなトーマス・オズボーンさんは、韓国の詩人、金素月(キム・ソウォル)の作品「チンダルレの花」を歌詞にした歌曲「空と海の夢」を作曲しました。また、朝鮮時代の芸者で女流詩人としても知られる黄真伊(ファン・ジニ)の詩をモチーフにした伽倻琴と弦楽4重奏、「長い夜の歌」も作っています。

伝統と継承にとどまっていた韓国の伝統音楽、国楽は長い間、変化を試みてきました。国楽に携わる人たちは現代的な国楽を作って大衆に近づくために努力してきました。また、最近では国楽と西洋のクラシック音楽の共演も多くなっています。

そんな国楽にまた新たな変化の風が吹いています。外国人の作曲家が作った国楽。ドナルド・ウォマックさんとトーマス・オズボーンさんは、韓国の伝統音楽に新しい活気を吹き込んでいるのです。

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