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ピープル

韓国のハウスコンサートを率いてきたパク・チャンス

2016-05-10

4月11日、文化の街と呼ばれるソウルの大学路(テハンノ)にある「芸術家の家」でバイオリンとピアノによる小さな演奏会が開かれました。面白いことに、この演奏会には客席がありません。演奏者と観客の距離はわずか2、3メートル。観客に楽器の音だけでなく、演奏者の呼吸まで伝わってきます。舞台と客席の境をなくしたこの公演は、今年で14年目を迎えたハウスコンサートです。これまで450回以上開かれているハウスコンサートはクオリティが高く、音楽愛好家の間で人気が高まっています。

2002年、韓国最初のハウスコンサートを企画し、これまで14年間率いてきたのは、ピアニスト兼作曲家のパク・チャンスさんです。大規模な公演会場では楽器の持つ本来の音が客席まで伝わらないと考えたパク・チャンスは、2002年、自宅のリビングにピアノを出し、その周りに座布団を敷いて客席を作りました。韓国最初とされるハウスコンサートを開いたのです。家で開かれた小さなコンサートでしたが、そのクオリティはどんな演奏会にも劣りませんでした。その後、ハウスコンサートは実力のある新人アーティストの登竜門へと成長していきます。


パク・チャンスさんは、新人アーティストの可能性を見抜く目を持っています。また、音楽に関する限り、妥協することがありません。彼の鋭い勘と音楽に対するプライドがハウスコンサートを最高の演奏者と最高のプログラムで満たしているのです。2012年、ハウスコンサート10周年を記念して開かれた「フリーミュージック・フェスティバル」はそのクライマックスといえます。2012年7月9日から15日まで、たった1週間の間に、21の地域にある芸術劇場や市民会館など23の演奏会場で100回の公演を開きました。この「フリーミュージック・フェスティバル」を通じて、公演する機会の少ないアーティストには舞台を、観客にはクオリティの高い公演を、そして眠っていた公演場を活用する機会を作り出したのです。ハウスコンサート10周年記念公演を成功裏に終えたパク・チャンスさん。1年後の2013年にはもっと面白い企画を思いつきます。小劇場や軍部隊、学校、家庭など全国65の場所で
1万人の観客と294人のアーティストが参加し、同時に公演を進める「ワンデーフェスティバル」を開いたのです。さらに、2014年には「ワンデーフェスティバル」の舞台を広げ、韓国、日本、中国など94カ所で同時にコンサートを開きました。そして、2015年にはワンマンス・フェスティバルを企画しました。1ヶ月間、27の国が参加し、155の都市で432回の公演が開かれました。韓国だけではなく、公演が開かれた国のアーティストまで、合わせて1500人が公演に参加しました。

14年間、パク・チャンスさんが進めてきたハウスコンサートは、独特な企画とさまざまな記録で演奏者との信頼を築いてきました。今では、世界的なアーティストの方からハウスコンサートの舞台に立ちたいという連絡を受けるほどになりました。聴衆とのダイレクトなコミュニケーション、演奏者の呼吸や小さなミスまでフィルタリングされていない、生の音楽が観客に伝わっていくハウスコンサートに魅了されたのです。

スタートから14年。ハウスコンサートは、音楽を愛するすべての人のものとなりました。そして、パク・チャンスさんは、今も休むことなく次の公演を企画し続けています。

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