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ピープル

カウンターテナー、チョン・シマン

2016-05-31

5月18日から21日までの4日間、ソウルの南部、江南区(カンナムク)にあるLGアートセンターでは国立オペラ団の公演が行われました。この日、舞台にのせられたのは、1714年に書かれたヴィヴァルディのオペラ「オルランド・フィント・パッツォ」。この日の舞台はいつもより特別でした。「オルランド・フィント・パッツォ」が韓国で公演されたのは初めてで、しかも、なかなか鑑賞する機会のなかったカウンターテナーの歌声を聴くことができたのです。カウンターテナーは、西洋音楽における男性歌手のパートの一つで、女性の声に相当する高い音域を歌います。

この日の公演には二人のカウンターテナーが登場しました。韓国のカウンターテナーの道を切り開いてきたイ・ドンギュさんと、今年32歳になる若手のカウンターテナー、チョン・シマンさんです。この日の公演は、チョン・シマンさんにとって韓国オペラにデビューする特別な舞台でした。しかし、海外ではすでにその実力を認められています。彼は、2009年、ドイツのアレクサンダー・ジラルディ国際声楽コンクールで最高ヤング・アーティスト賞を受賞し、翌年の2010年にはスペインのフランシスコ・ビニャス国際声楽コンクールで最優秀カウンターテナー賞を受賞しています。また、去年、2015年、オペラ・インデックス国際声楽コンクールで優賞、カウンターテナーとしては珍しく、アメリカ有数のマネージメント会社に所属し、活動しています。


子どもの頃からクラシック音楽が好きだったチョン・シマンさん。彼が目指していたのはカウンターテナーではなく、バイオリニストでした。彼が声楽に関心を持つようになったのは高校3年生の時で、変声期が過ぎても声が変わらなかったチョン・シマンさんの歌を聞いた人がカウンターテナーを目指してみてはどうかと勧めたのです。歌が好きだった彼は、数ヵ月間、歌のレッスンを受け、アメリカのマネス音楽大学に志願、入学しました。

変声期を過ぎても美声を保ち、また、古楽にも関心を持っていたチョン・シマンさんにとってカウンターテナーへの道は運命だったのかも知れません。アメリカのマネス音楽大学に入学した彼は、最初の1年間は特別なトレーニングがなくても国際コンクールの予選を通過することができました。トレーニングもなく、初めて参加したビニャス国際声楽コンクールの予選も難なく通過していました。数ヵ月が経ったある日、練習していないのが目に見えるという担当教授の鋭い指摘にハッと目が覚めたチョン・シマンさん。その日から、本格的に歌のトレーニングにとりかかりました。本格的に歌のトレーニングを始めて3年が経った頃からチョン・シマンさんは実力を発揮するようになり、先ほどご紹介したようにさまざまな国際声楽コンクールで入賞、最高のカウンターテナーの一人として実力を認められるようになりました。そして、去年、オペラ「フライト」で主演を演じることで、アメリカのオペラ舞台にデビューします。この舞台を通じてアメリカのマネージメント会社「ケン・ベンソン・アーティスト」と契約し、ニューヨークのカーネギーホールで公演するなどより広い舞台に向かって一歩ずつ歩み出しています。

オペラ「オルランド・フィント・パッツォ」を通じて韓国のオペラ舞台へのデビューを果たしたチョン・シマンさん。韓国の観客が接する機会の少ないカウンターテナーの歌声を披露し、韓国のオペラの幅を広げるために努力しています。「韓国でもカウンターテナーが珍しくないオペラ文化を作っていけるように努力することが、今の自分に与えられた役割」と語るチョン・シマンさんのこれからの活動が期待されます。

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