尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領がおととしアメリカを訪問した際に暴言を吐いたと報じたテレビ局、MBCに対して、外交部が訂正を求めて起こした裁判で、地方裁判所は、MBCに訂正を命じる判決を言い渡しました。 

ソウル西部地方裁判所は12日、尹大統領の発言を報道した時と同じニュース番組の冒頭で、訂正文を読み上げるとともに、字幕で画面にも表示するよう命じました。

MBCはおととしの9月、尹大統領がニューヨークでバイデン大統領と歓談を交わした後に発した言葉を紹介しながら、「（アメリカ）国会でこの野郎どもが承認しなければバイデンは赤っ恥だ」という字幕をつけました。

大統領の発言について、大統領室は、「国会」はアメリカの議会ではなく、韓国の国会を刺したもので、「バイデン」とされた部分は発音が似た別の言葉だったと反論していました。 

MBCの報道について、外交部は、韓国の「外交」に対する国民の信頼を揺るがすものだとして、大統領室ではなく、外交部が主体となって、おととし10月に言論仲裁委員会に訂正報道を求める調停を申し立てましたが、双方の折り合いがつかず調停が不調に終わったことから、外交部は、MBCを相手取って訂正報道を求める訴訟を起こしていました。

一方で、裁判所は、原告と被告に対して大統領の発言の真偽について立証するよう要求しましたが、音声鑑定の専門家が「鑑定は不可能だ」という見解を示したため、結局、発言の真偽を明らかにすることができない中での1審判決となりました。