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文化

「歌詞、春眠曲」ほか

#国楽の世界へ l 2019-02-20

国楽の世界へ


風流を楽しむ人々を指して、風流客といいます。彼らが楽しんだ音楽には、伝統声楽曲のひとつ、正歌(チョンガ)というものがあります。正歌には、定型詩のひとつ時調(シジョ)や、歌曲、歌詞があります。歌詞は、詩歌のひとつで、歌の詞と書き、韓国語では歌詞(カサ)と発音します。歌詞は12の曲が伝わっていて、「十二歌詞」とも呼ばれます。世の中を去って自然の中で風流を楽しみたいと思う学者ソンビの気持ちがこもった歌が多いです。また、梅の花を見つめて歌うなど、愛の気持ちをこめた歌もあります。中でも、今日の最初は、春、眠る曲という意味の、「歌詞、春眠曲」です。暖かい春のある日、ゆっくり目を覚まして窓を開けてみました。すると、庭に花がいっぱい咲いていて、蝶が飛び遊んでいたという内容です。韓国の昔の音楽で、お花と蝶は愛する人を指すことが多かったようです。この曲の中のソンビも、愛を探して出かけようとしているところのようです。それでは、「歌詞、春眠曲、가사 춘면곡」という曲を、イ・ジュンアさんの歌でお楽しみください。


川岸にヤナギが咲いている春のある日、ソンビは食事の代わりにお酒を飲んで、遊ぶところを探して出かけます。お酒に酔っているのか、春に酔っているのか、行き先も決めずに馬に身をまかせます。しばらくして止まってみると、美しい女性が窓を半分ほど開けたまま外を見つめているのです。その姿に見とれて恋に落ちてしまったというお話です。昔の人々にとっても、このような自由な暮らしは歌の中だから可能だったはずです。歌曲は形式を守って管弦楽の伴奏に合わせて歌いますが、歌詞は曲ごとに雰囲気が違います。伴奏も横笛テグムや弦楽器ヘグムのような簡単な楽器です。でも、歌詞が長く漢文も混じっているので、若者が楽しむには難しいかもしれません。若い国楽のミュージシャンの中には、若者に合わせて変えてみようという試みをする人もいます。今度は、「春眠曲」を、グループ、モダン歌曲の音楽でお楽しみいただきます。伝統的な発声法を維持しながらも軽快な伴奏の曲です。春の日の午後、友たちとお茶をしに出かける姿が浮かびます。笛ピリと擦弦楽器アジェンの演奏と歌で、「春眠曲、午後のコーヒー、춘면곡 – 오후에 커피」という曲です。


今度は、歌詞、「漁夫の辞」を新しく解釈した曲です。昔の詩歌で、漁夫は、世の中を去って自然の中で隠居する人を意味しました。「漁夫の辞」は、海辺に住んでいる白髪の男性が、山に暮らすより水の近くで暮らした方が良いと主張する内容です。ここに登場する高齢の男性は、いつから海辺に住んでいたのか、若い頃の夢は何だったのか、などと色んなことを考えさせます。忙しい世の中を去って自然の中で暮らすことは、現代の人にも夢のようなことのはずです。そんなことを考えて作った曲が、「漁夫の辞」を新しく解釈した、「オオンの夢、어옹의 꿈」という曲です。今日の最後は、この曲を、正歌楽会の歌と演奏でお楽しみください。海辺に住んでも山に住んでも、どのような暮らし方をしても、同じ世の中です。時間はみんなに与えられるものです。人それぞれ理想とする姿を追って暮らすのをみると、短い人生ですが、簡単なことは何ひとつないような気がします。

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