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民謡
京畿道民謡「ユサンガ」

日本でも地方ごとに民謡の特徴は違いますよね。例えば、東北地方の民謡と関西地方の民謡、そして沖縄民謡など、メロディーやテンポなど、これらの曲を一度耳にしたことのある方であれば、なんとなくその地方ごとの違いを感じられるのではないかと思います。韓国でもやはり、民謡の特徴は地方によって異なるんです。言葉も、各地方に方言が発達し、時には使う語彙や抑揚が変化するように、その地に住む人々の情緒を直接、反映するものが、まさに今日ご紹介する民謡だと言えるでしょう。今回は民謡の中でも地方色がはっきり現れている各地方の代表的な民謡をご紹介したいと思います。韓国の民謡は大きく4つの地方の歌に分類することができます。
まずはソウル、京畿道地方で歌われてきた民謡「ユサンガ」です。ユサンガは、寒い冬を越し、花のつぼみが開き始める春を、心から楽しもうと、人々が物見遊山に出かける風景を歌った歌でした。
民謡は庶民の歌と言っても、最近では日本でも民謡を専門に歌う歌い手さんがたくさんいますよね。このように特別に歌を習い、訓練を重ねた専門家による歌を韓国語で雑歌といいます。ユサンガも京畿道地方の雑歌、京畿雑歌のひとつでした。京畿雑歌は歌い手ひとりが舞台の中心に正しく座りながら歌い、明るく、きれいな曲調が特徴なんですよ。

南島民謡「ユクチャペギ」

ふたつめの地域、韓半島の南の地方で歌われてきた南島民謡をご紹介します。南島民謡は先ほどの京畿道地方の民謡に比べ、その歌う声は太く低く、心の底に響くような印象を与えます。地理的に南島というと、全羅道、慶尚道、済州島を含む地方を指すのですが、民謡の場合には全羅道地方を中心とした地域を主に指す言葉として使われています 。このあたりはよく肥えた土地が広がっていて、海からも近く、作物や海産物が豊富に取れる地域でした。けれど、その反面、官吏や地主たちの搾取も激しく、農民たちは豊かに実った田畑を見渡しつつ、自分たちは飢えに耐えなければならなかったのです。そんな南島の人々はこのような苦しい環境の中で、日々のつらさを歌にして紛らわしていたそうです。そのため、今でもこの地域は歌のふるさととして広く知られていて、多くの民謡が歌い継がれているんですよ。そんな南島を代表する一曲に”ユクチャペギ”という曲があげられます。

白頭大幹(ペクトゥデガン)地方民謡

韓国は国土のおよそ70%が山にあたり、その山の大半が韓半島の東側に山脈として位置しているんです。この山脈を韓国語で白い頭に、大きな幹と書いて、白頭大幹(ペクトゥデガン)と呼んでいるのですが、中国と北韓の国境に位置する白頭山から始まり、東海岸側のクムガンサン、ソラクサンを経て南下し、テベクサンからその方向を南西に変えて半島の中心部に入り込み、最終的にチリサンに至るとても巨大な山脈なんです。海抜も高く、この山脈で隔たれた地域とは往来が難しかったとされ、白頭大幹の東側に位置する咸鏡道、江原道、慶尚道地方ではこの地域同士でのみ交流があったとされています。この東側の咸鏡道、江原道、慶尚道地方が今日ご紹介する3つ目の地域にあたります。このあたりは山林の多い地方らしく、その言葉や抑揚も強いイメージがありますが、同様にこの地方の民謡も比較的、強弱やメロディー変化が激しいといえるでしょう。この地域の歌の特徴はメナリトリというのですが、メナリとは農民が田畑の雑草を取りながら歌った歌という意味を指し、どこか物悲しい印象を受けます。

西道民謡

最後にご紹介するのは現在の北韓の西側に位置する黄海道と平安道地方の民謡、西道(ソド)民謡です。この地域の民謡の特徴は、西道民謡の代表的な曲、スシムガにちなんで、スシムガトリといわれています。黄海道と平安道地方は高麗時代には首都として発展した都市でしたが、朝鮮時代になると、以前の王朝が置かれた地域だという理由で、この地域の出身者は出世が妨げられるなど差別を受けたりもしたそうです。このような阻害された悲しさが込められた歌、スシムガを最後にお聞きいただきましょう。


♬ 京畿道民謡「ユサンガ」 : イ・チュニさん
♬ 南島民謡「ユクチャペギ」 : ソン・チャンスン、オ・ジョンスクさん
♬ 西道民謡「スシムガ」: オ・ポンニョ、シン・ジョンエ、ユ・ジスクさん

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