大統領に当選した最大野党「国民の力」の尹錫悦（ユン・ソンニョル）氏が掲げた主な公約とビジョンについて振り返ってみます。 
尹氏の第一の公約は、新型コロナの克服でした。
就任すれば、大統領直属の特別本部を設置し、緊急救助プログラムを始動させるという構想を打ち出しています。
次に大きな変化が予想されるのは、不動産政策で、不動産市場を安定させるため、250万戸以上の大規模な住宅の供給とともに、高率の総合不動産税の廃止の検討や再建築など不動産規制の緩和などを行うとしています。
また経済政策では、民間による経済成長を目指し、企業が働きやすい環境をつくり、短期の雇用ではなく、質の高い民間の雇用を生み出すとしています。
雇用に関しては、規制を解き、政府の役割を最小限に抑えるという方向性を示しています。
これはいまの政権がかかげていた「所得主導の成長」から、「企業中心の成長」にパラダイムを転換することを意味します。
一方、尹氏は、女性家族部の廃止、虚偽告訴罪の処罰強化のように論争となる政策もかかげています。
女性家族部の廃止をめぐって、論争が激しくなったため、尹氏は自身のフェースブックに、「男女を分けるのではなく、子ども、家族、人口減少などの問題を総合的に扱う部処の新設を進めるというものだ」と説明しています。
ただ、政府部処の廃止をめぐっては、政府組織法の改正が必要であるため、ねじれ国会となるいまの国会で実現するかは不透明です。
また尹氏は、いまの政権がかかげていた「脱原発」の白紙化を公約にかかげていて、原発に投資を続ける方針を示しています。