医学部の定員拡大をめぐって、政府と医師らとの対立が続くなか、国立大学の総長らが増員の規模の縮小を求めたのに対し、政府はこの要請を一部受け入れ、来年度に限って、大学側の裁量で増員の規模を半分にまで減らせるようにしました。
政府は、去年10月に、医師不足への対応策として医学部の定員を2000人増やすと発表し、各大学の医学部から、定員の増員について希望を募りました。
政府は、先月20日に、2000人のうち、82%を首都圏以外にある27の大学の医学部に割り当てることを発表しています。
その後、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、医師らとの溝が埋まらないことをうけ、今月1日に談話を発表し、増員の規模を見直す可能性について初めて言及しました。
これを受けて、地方の国立大学6校の総長らが18日、政府が決めた増員数から最大50%減らして募集できるようにしてほしいと政府に要請しました。
総長らは、増員規模を自主的に調整できるよう求めた理由について、「医療改革による混乱で、医学部の新年度の開講が延期されたことに加え、学生による授業の拒否などが続き、医学部の運営に大きな支障が出ている」としたうえで、「来年度の募集要項を確定するまでに残された時間は少なく、これ以上ただ見ていることはできない」と説明しました。
これをうけて、韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理は19日、「政府は、大学側の要請を前向きに受け入れることにした。2025年度の入試に限って、希望する大学は、状況に応じて、政府が決めた増員枠の50%から100%の範囲内で、増員の規模を自主的に決められるようにする」と発表しました。
韓国務総理は、「医学部の教育の正常化や医療現場の混乱の解決に向けた糸口を見出すための決断だ」としています。