ローマ法王の訪韓は韓国国内だけでなく、海外にも大きく報道されました。連日の市民の歓迎ぶりを見て、さすがに街中に十字架があふれている国らしいと、思われたかもしれませんが、同じ十字架でも微妙に違うマナーがあります。
今日は韓国のキリスト教のマナーです
留学生の山田君がお友達の金さんと、テレビを見ながら話をしています
山田君 90万人ですか、土曜日の光化門でのローマ法王のミサに出席した
信者の数。本当に多いですね。まして都心のど真ん中を使った
行事なんて、日本じゃ考えられませんよ。
そういえば、金さんも毎週日曜日には教会に行くと言ってましたよね。
土曜日には行ったんですか、光化門のミサに
金さん いいえ、私はキリスト教でもプロテスタントなので全然違います。
ローマ法王のミサにも行きませんでした。
山田君 どんなふうに違うんですか?
金さん 例えば先祖を祀る祭祀の行事、韓国の伝統的な儒教の行事ですよね
この祭祀をカトリックの家では行いますが、プロテスタントの家では
しないんです。
それからもうすぐやってくる秋夕、そして旧正月にプロテスタントの
家ではご馳走は作ってもそれを先祖に備える祭礼の儀式はしません
山田君 カトリックでは祭祀をしても良いんですか。
同じキリスト教でも全然違うんですね。
韓国人の代表的な年中行事が秋夕と旧正月ですが、その際にもプロテスタントのお宅では伝統的な祭礼は行いません。一方で同じキリスト教でもカトリックのお宅では、儒教式の祭礼をそのまま行っています。カトリックはローマ法王庁から1990年代に祭祀をしてもそれは先祖に対する礼儀なのでかまわないと正式に認められました。
ですからもともとは長男がやることになっている、祭礼や祭祀などの伝統的な儒教式の行事が、長男がプロテスタントに改宗してしまうと、長男の変わりに他の兄弟が行うことになり、これが兄弟喧嘩など家の中の揉め事の発端になることがよくあります。
私の親戚の家では最初は仏教だったのが、途中でプロテスタントに変わり、その後
やはり祭祀ができないのはまずいと、今ではカトリックになっています。
日本では七五三は神社で、結婚式は教会で、そしてお葬式は仏教式にという具合に
自由に行うことができますが、韓国の場合は祭祀をするために信仰する宗教自体を変えることもあります。
ということで「 恥をかかない韓国マナー」、韓国では同じキリスト教でも
プロテスタントとカトリックではそのルールが大きく違います。
そしてそのルールの一つ、カトリックは祭祀を認めていますが、プロテスタントの
お宅では祭祀は行いません。