メニューへ 本文へ
Go Top

文化

ライセンス契約を結んで海外に上演されている韓国初のミュージカル「パルレ」

2012-03-27



若者の街として知られるソウルの大学路(テハンノ)には小さな規模の劇場がたくさん集まっています。その一つ、ハクチョン・グリーン小劇場では、2005年から現在まで、7年にわたって、ロングランを続けているミュージカル「パルレ」が公演されています。

「パルレ」は韓国語で「洗濯」という意味です。ソウルの下町が舞台となるミュージカル「パルレ」には、地方出身の契約社員OL、不当な扱いを受けてもじっと耐えるしかない外国人労働者、体の不自由な娘の世話をしながら生きていく大家のおばあさんなど、ソウルの下町で暮らす貧しい人たち、いわば大都会のアウトサイダーたちが登場します。



職業も、住んでいる家もみすぼらしい、ソウルの下町の人たちの暮らしを描いたミュージカル「パルレ」。ソウルには「パルレ」と同じように、地方出身の人たちがたくさんいます。ですから「パルレ」に登場するエピソードは、まったく知らない人のことではなく、自分の話だったり、親や身近な人の話だったりします。厳しい環境におかれても希望を失わない彼らの姿に、観客はいっしょに慰められ、いやされるといいます。こうした親近感が「パルレ」のロングランの秘密なのです。



幕が上がって最初に見えるのは、舞台いっぱいに干されている大量の洗濯物。その量から、この町はたくさんの人が暮らしている下町だということが分かります。ミュージカル「パルレ」はこの町に、27歳の娘、ナヨンが引っ越してくるシーンから始まります。ナヨンの部屋は日当たりがよくないため、洗濯物を干しに屋上に上がります。そこでナヨンは出稼ぎにきているモンゴル人の青年、ソロンゴに出会います。韓国ミュージカル大賞をはじめ、さまざまな賞を受賞した「パルレ」はその作品性を認められ、ナヨンとソロンゴが出会うこのシーンは韓国の中学校と高校の国語の教科書にものせられています。このシーンが選ばれたのは韓国社会が多文化社会に変わっていて、彼らもまた私たちの隣人であることを表しているからです。



4ヶ月も給料をもらえず、屋根裏部屋からも追い出される寸前のソロンゴ。しかしナヨンはそんな彼を助けることができません。不当な理由で先輩を追い出したことに抗議した彼女は、会社から解雇されてしまったのです。そんなナヨンを慰めてくれるのは、下町で暮らす素朴な人たちでした。近所のおばさんたちが教えてくれた悩みを吹き飛ばす一番の方法は洗濯、「パルレ」。「染みのような昨日を洗い、ほこりのような今日を払い、明日のシワを伸ばそう」という内容の歌はミュージカル「パルレ」のハイライトです。



ミュージカル「パルレ」に溶け込んでいる素朴なぬくもりは万国共通で、日本にも通じました。韓国のオリジナル・ミュージカル「パルレ」はライセンス契約を結んで日本版でも公演されています。東京と大阪で公演された日本版「パルレ」は好評で、5月には六本木にある俳優座での再演が予定されています。日本版「パルレ」を完成させた保坂まり子さんはこの作品を通じて大震災で傷ついた日本に希望と勇気、生きるエネルギーを届けたいと語ります。

洗濯をするように心配や悩みごと、孤独な生活を洗い流し、感動と希望のメッセージを送ってくれるミュージカル「パルレ」。韓国で初めてライセンス契約を結んで海外、日本で上演されている「パルレ」は、韓国のミュージカル界にとっても新しい希望となっています。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >