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文化

舞台の上で完成される美術作品、ドローイングショー

2012-04-24



ソウルの中心にそびえる山、南山(ナムサン)のふもと、獎忠洞(チャンチュンドン)にある劇場で「オリジナル・ドローイングショー」というパフォーマンスが開かれています。ドローイングショーは基本的に舞台の上で絵を完成させる美術パフォーマンスですが、「オリジナル・ドローイングショー」はキャンバスと絵の具の他に、影や光、水面などを利用して楽しいパフォーマンスを完成させています。水面に絵の具を浮かばせるマーブリング技法や指で絵の具を弾くフィンガードローイング、キャンバスに絵の具を滴らせて、その色や厚みなどを使って絵を完成させた画家、ジャクソン・ポロックの技法など、独特な絵画技法を披露しています。

ドローイングショーは初めてアートをモチーフにしたノンバーバル・パフォーマンスです。これまで美術作品というと美術館やギャラリーなど上品な場所で、すでに完成した作品を鑑賞するのが全部でした。ところが、ドローイングショーは俳優のアクションやダンス、コミカルな演技を加味して絵を完成させていく過程を見せてくれます。

2008年7月にスタートしたドローイングショーは今、3回目のシリーズで公演されています。聖書に基づいた天と地の創造を美術で表現した第1シリーズの「クライスト・ドローイング」、世界的な名作が生まれる過程にスポットを当てた第2シリーズの「名作」に次いで、今、上演されている第3シリーズのテーマは「ザ・ルック」です。

ドローイングワールドの宇宙人「ルック」たちがキューブの形をした宇宙船に乗って宇宙を旅する途中に地球に不時着し、絵を通して地球人とコミュニケーションを取るのです。

幕が上がると、まっ暗な舞台に宇宙人「ルック」を演じる俳優たちが登場し、華麗なパフォーマンスとともにキャンバスに自分を表現するキャラクターを描いていきます。夜光塗料が塗られた紙にライトを当てると完成した絵は神秘的な色に光ります。作品は3分ほどで完成しますが、とてもパワフルでインパクトの強いオープニングです。

絵を描くだけではパフォーマンスとはいえません。ドローイングショーの舞台効果が美術作品に息を吹き込みます。ウォータードローイングと呼ばれる技法で、絵のなかの滝に青い水が流れたり、朝鮮時代を代表する南大門こと、崇礼門(スンレムン)が燃えているように見えたりします。また、世界的な美術作品が数分のうちに再現されたりもします。

ドローイングショーを完成させるまでの実験過程は長く、厳しいものでした。14年もかかって、舞台で披露せきるさまざまな技法を一つ一つ見つけ出していったのです。ドローイングショーに出演している俳優たちは美術を専攻した人たちではありません。舞台の上で瞬く間に描き出される作品は厳しいトレーニングの積み重ねで生まれたものなのです。

実験とトレーニングの積み重ねによって生み出されたオリジナル・ドローイングショーは世界各国から注目を集めています。ドローイングショーは美術と華麗なショーを一つにした初めてのノンバーバル・パフォーマンスとして韓国を代表する新しい舞台作品へと成長していくに違いありません。

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