メニューへ 本文へ
Go Top

文化

フュージョン・スタイルの伝統音楽の祭典「ヨウラック・フェスティバル」

2012-07-31



ソウルのシンボルともいえる山、南山(ナムサン)のふもとにある国立劇場。7月3日から21日まで、ここ国立劇場では面白いコンサートが開かれました。題して「ヨウラック・コンサート」。2010年にスターとし、今年で3回目を迎える「ヨウラック・フェスティバル」の「ヨウラック」は韓国語で「ここに私たちの音楽がある」という言葉の頭文字をとったもので、世界の音楽とのコミュニケーションを試みる韓国の伝統音楽を紹介しています。

「ヨウラック・フェスティバル」は、2010年、韓国の伝統音楽にルーツをおいて、海外で活動している4つのチームを招待して開かれました。伝統音楽を新しいスタイルにアレンジしたフュージョン国楽を作っているチームで、海外ではかなり人気を集めていましたが、韓国ではほとんど知られていなかったからです。最初のフェスティバルがとても好評で、今年のフェスティバルには13チームが参加するなど、その規模がだんだん大きくなっています。

今、韓国の伝統音楽はその伝統を守る一方で、より多くの観客とコミュニケーションするために、いろんなジャンルの音楽や海外のアーティストと交流しながら変化を試みています。「ヨウラック・フェスティバル」は韓国の伝統音楽の基本的なリズムを自分のスタイルに合わせてアレンジしたフュージョン・スタイルの伝統音楽を披露するコンサートなのです。



今年の「ヨウラック・フェスティバル」にも個性あふれるミュージシャンたちが参加しました。国楽室内楽団の「正歌楽会(チョンガ・アクフェ)」は小説をモチーフにした朗読音楽会を披露しました。舞台には7人の団員が登場し、声優が小説を朗読しはじめると、11種類の伝統楽器で登場人物の変化や情緒を表します。そして主なシーンでは演奏者がすっくと立ち上がって登場人物を演じるのです。声と音楽、演技で表現される小説の世界は現実のようなリアリティを帯び、観客を魅了します。

また、2本の弦を弓でこすって演奏する弦楽器のヘグムにピアノ、ギター、ビオラの演奏が加わった「ヘグムコンサート」、フェースブックやツイッターでやりとりした話をベースにして作った歌と詩に琴の一種の伽倻琴(カヤグム)とドラム、ベースギター、チェロなど、いろんな楽器によるBGMが加わった「トークコンサート」など、韓国の伝統音楽、国楽をモチーフにしたフュージョンスタイルの音楽が披露されました。

若いアーティストが中心となっている「ヨウラック・フェスティバル」ですが、参加しているのは若い人たちばかりではありません。今年はジャズで有名なパク・ジェチョンさんをはじめ、パンソリ名人のアン・スクソンさん、太鼓のキム・チョンマンさんなどが参加して、若者に劣らない情熱的な舞台を披露しました。古い世代と若い世代が一つになって素敵な伝統音楽の世界を繰り広げるコンサート、それが「ヨウラック・フェスティバル」なのです。



今年の「ヨウラック・フェスティバル」は始まる前から話題になり、チケット売りきれが続出しました。イ・ジャラムさんのパンソリ公演もその一つでした。ドイツの劇作家、ベルトル・ブレヒトの代表作「セツアンの善人」を21世紀の韓国社会に合わせて脚色したパンソリ公演「セツアン歌」。このパンソリは「世の中に善人はいるのか」、「いるとしたら最後まで善を維持できるか試してみよう」ということから始まります。イ・ジャラムさんはこの作品を通じて、美しければ何でも許される外貌至上主義、無限競争、青年失業、学歴による差別など2012年現在の韓国の社会問題について語りかけます。パンソリ「セツアン歌」はアメリカのシカゴ・ワールドミュージクフェスティバルやワシントン․フェスティバル、そして、去年、フランスの国立民衆劇場などに招待されたり、フランス語版の「セツアン歌」が発刊されるなど、世界的に知られるようになりました。

チケットを手に入れられなかった人たちも「ヨウラック・フェスティバル」を楽しむことができます。劇場内での公演が終わったあと、フェスティバルに参加したアーティストたちは屋外に設置された公開舞台にのぼります。無料で行われる舞台ですが、公演の内容や観客の熱気は有料の公演に引けを取りません。

ロックコンサートさながらの熱気に包まれた国立劇場。国立劇場で開かれた「ヨウラック・フェスティバル」は、韓国の伝統音楽が持つ無限の魅力をアピールする楽しい国楽の祭典なのです。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >