韓国では名前がふたつある人がかなりいます。「児名」といって、戸籍上の名前とは別に、幼い頃から家族や親戚などから呼ばれている名前です。名前をふたつ持っている知り合いなどの例から察するところ、児名が呼ばれる場合は、①本名が発音しにくい、字画が悪いなどの理由、②有名人の誰かや漫画のキャラクター、動物などに似ているとして、それらの名前で呼ばれる場合、またこれは数として多いのかはわかりませんが、③ハングルの名前を戸籍に記載できなかった頃の影響などが挙げられるようです。①は改名の理由とまったく同じですが、改名まではしなくとも、戸籍とは別な名前で呼ばれている場合です。②は親しみが込もったそれこそ「あだ名」です。③は、過去、ハングルの名前が役所で受け入れられなかったときに、仕方なく漢字の名前を届け出たけれど、実際にはハングルの名前で呼ばれているという場合です。ハングルの名前とは、漢字では表記できず、ハングルだけでしか表記できない名前のことで、「ハヌル(空の意)」、「パダ(海の意)」などがあります。いまではこうしたハングルの名前も戸籍にのせることができます。
最近ではむしろハングルの名前を漢字の名前に改める場合も増えています。ハングルの名前は一時大流行しましたが、あまり種類(?)が多くありません。なのでクラスに同じ名前の子がいる、などの状況があるからです。あと、ハングルの名前はかわいらしい響きのものが多いので、大人になってから呼ばれるのは気恥ずかしいという理由もあるといいます。それにハングルの名前だと海外では意味をすぐにわかってもらえないので、グローバル化の時代に合わせて、漢字の名前が増えているということです。こうしたことがハングルの名前から漢字の名前に改名する理由のひとつになっています。
ちなみに2000年から2009年までの間、改名を申請した人は約85万人。韓国国民50人中ひとりが申請していることになります。同じ期間、改名が許可されたのは73万人あまり、86%だと、最高裁判所は明らかにしています。改名の理由は、最高裁判所によると、からかわれるような名前だったり、発音が難しい名前、前述のとおりハングルから漢字の名前に改める場合、凶悪犯と同じ名前の場合、などだそうです。