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論点

元徴用工訴訟で賠償請求を却下

2021-06-12

ニュース

ⓒYONHAP News

元徴用工の遺族らが日本企業に損害賠償を求めた裁判で、ソウル中央地方裁判所はこのほど、原告の訴えを却下しました。

却下とは、裁判所や審判機関が訴訟の要件を満たしていないと判断し、請求や申し立てを受け付けないことを意味し、原告敗訴と同じ判決です。

元徴用工の損害賠償をめぐっては2018年に別の原告が起こした訴訟で、最高裁にあたる大法院で日本企業に賠償を命じる判決が確定していて、ソウル中央地方裁判所の今回の判決は、最高裁にあたる大法院の判決を下級審が覆したことになります。

ソウル中央地方裁判所は原告の賠償請求権について、1965年の韓日請求権協定によって個人の請求権が完全に消滅したとは言えない、としたものの、日本政府や日本企業を相手に訴訟で請求権を行使するのは制限されると指摘しました。

日本企業に賠償を命じた2018年の大法院判決では、請求権問題が「完全かつ最終的に解決された」と明記した韓日請求権協定によって個人の請求権は制限されるとみなすべきで、日本企業ではなく韓国政府が賠償するのが妥当だとする少数意見がありました。

ソウル中央地方裁判所の今回の判決は、大法院判決の少数意見と同様の趣旨です。

ソウル中央地方裁判所は、個人の請求権を認めることは国際法に違反する結果を招きかねないとも指摘しました。

大法院判決では、「日本政府の違法な植民地支配や、侵略戦争の遂行と結びついた日本企業の反人道的な違法行為」を認定していますが、ソウル中央地方裁判所は、国内法で日本の植民地支配の違法性が認定されたとしても、条約に当たる請求権協定の不履行は「国際法に違反する結果を招きかねない」としたうえで、「韓国は国際法的に請求権協定に拘束される」とも指摘しました。

また、原告の請求を認めた判決が確定していても、被告である日本企業の財産に対する強制執行は「権力の乱用に該当し、許されない」としました。

原告側弁護士は判決後、控訴する考えを示しました。

今回の判決については、「国民の情緒とかけ離れた判決」とする批判がある一方で、日本企業に賠償を命じた大法院の判決は法解釈に無理があったとして、今回のソウル中央地方裁判所の判決を支持する声もあります。

ソウル中央地方裁判所の今回の判決は今後の同様の訴訟にも影響を及ぼすものとみられ、今後も論議は続きそうです。

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