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文化

映画『ハルビン』

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2025-01-08

玄海灘に立つ虹


〇今年ご紹介する第一本目の映画は『ハルビン』です。武田さんも出演されているので、公開を心待ちにしていました。主演は、日本でも人気のヒョンビン、監督は『インサイダーズ』や『南山の部長たち』で知られるウ・ミンホ監督。ヒョンビンが演じるのは伊藤博文を暗殺した安重根なんですが、伊藤博文はリリー・フランキーが演じていました。他にもイ・ドンウク、パク・ジョンミンなど豪華出演陣によるスパイアクション映画で、韓国では12月24日に公開されて、公開9日であっと言う間に観客数300万人突破しました。

〇インタビュー記事を読むと、ウ・ミンホ監督も、ヒョンビンも最初にオファーが来た時は断ったそうで、そのくらい安重根という人物を描くこと、演じることは負担の大きなことなんだなと改めて感じました。 そういう意味で、覚悟を決めて挑んだ作品だと思います。
時代は伊藤博文が暗殺された年なので、1909年。1910年韓国併合の前年です。植民地化が進む中で、伊藤博文はその象徴的存在でした。タイトルのハルビンは伊藤博文が暗殺された場所が、ハルビン駅だったんですよね。史実として、安重根は暗殺の現場で捕まって数カ月で死刑となり、30歳で亡くなりました。
結果は誰もが知る歴史的事実なので、そこまでの過程が描かれた映画です。そういう意味では1979年の朴正煕大統領暗殺事件を描いた『南山の部長たち』と同じパターンなんですね。映画『ハルビン』では安重根一人ではなく、チームで暗殺計画を進めるという形ですが、そこにはそれぞれの思惑があって、内部での衝突、内通者がいるのではという疑心暗鬼に駆られます。安重根は敵も含めてできるだけ犠牲者を減らしたいという思いと、だけどもそれが味方を危険に陥れることにもなるという葛藤が描かれ、暗殺者なんだけど、ヒューマニストというキャラクターでした。監督は偉大な英雄の人間的な側面を描きたかったと語っています。


〇映画の中では伊藤博文が狙われているというのは日本軍側も把握していて、安重根チームの動きが監視の対象になっています。武田さんの出演シーンは列車の中で、武田さんは日本の軍人、安重根たちと狭い空間で緊張感いっぱいのシーンでした。事前に撮影の時の話を聞いていたので、ああ、なるほどこういうことかと、よく分かりました。武田さんが座ったから、あの緊張感が生まれたってことですよね。
映画の中で印象的だったのが、リリー・フランキーさん演じる伊藤博文のセリフで、この国の民衆は国難のたびに変な力を発揮する、っていうセリフなんですけど、まさに昨年12月の非常戒厳の後、汝矣島に集まって大統領弾劾を訴えた人たちのことに重なるようで、すごいタイムリーだなと思いました。

〇気になったのは、安重根はもちろん実在の人物ですが、一緒に暗殺計画に参加したメンバーは実在したのかどうか。調べて見ると、パク・ジョンミンが演じたウ・ドクスン、ユ・ジェミョンが演じたチェ・ジェヒョンは実在の人物のようです。なんとなく安重根の単独の暗殺だと思っていたんですが、映画のように共に暗殺計画に参加した同士が実際いたということなんですね。安重根はあまりにも有名ですが、歴史に名の残らなかった仲間たちがいたというのが、映画の一つのメッセージのように感じました。


〇以前、キム・フンの小説『ハルビン』を紹介したことがあって、これも安重根が主人公の小説ではあるんですが、タイトルは同じですがこの映画の原作というわけではないんですね。でもこれを読んで映画を見たら理解が深まると思うので、ぜひ読んでほしいなと思います。日本語版も出てます。映画はまだ日本公開情報は発表されてませんが、ヒョンビン主演の大作なので公開するんじゃないかなと期待しています。とにかく映像も音楽も壮大なスケールで、ぜひ映画館で見てほしいと思います。

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