今日のサラメシのメインは、「ヘジャンクク」です。
実は先日、『劇映画 孤独のグルメ』を観たのですが、へジャンククの種類の一つ、ファンテ・ヘジャンククが出ていました。ファンテというのは干したスケトウダラ、干しタラのことです。サラメシはファンテ・へジャンククではありませんが、せっかくですから「へジャンクク」についてお話ししようと思います。
へジャンククはヘジャンに、クク(スープ)で、ヘジャンは漢字で「解酲」と書きます。「酲(てい)」は二日酔いを意味する漢字で、日本でも二日酔いのことを「宿酲(しゅくてい)」と書く漢語もあるとネットに出ていました。ヘジャン「解酲」は「二日酔い」を「解く」スープという意味です。つまり、頭が痛い、胃が重いなどの体に残った気持ちの悪い酔いをなくすために食べるスープのことを「へジャンクク」と呼んでいます。
へジャンククと一口で言うもののその種類はたくさんあり、地域や家庭ごとにさまざまなへジャンククが食べられています。現在全国区で食べられるようになったのは、豚の背骨を煮込んだ、カムジャタンに似た「ピョ・ヘジャンクク」や、牛の血をゼリー状に固めた「ソンジ」が入る「ソンジ・ヘジャンクク」、モヤシのスープにごはんを入れた
「コンナムル・へジャンクク」、そして冒頭でもご紹介した「ファンテ・へジャンクク」などがあります。
ですが、本当にたくさんのへジャンククがあるので、材料やレシピが一つではありません。
へジャンククというとだいたい辛い赤いスープかピリ辛のスープが多いですが、コンナムル・へジャンククやファンテ・へジャンククはそうではありません。
それにサラメシのへジャンククもスープは赤くありません。ただ赤唐辛子が入っていてピリ辛という感じです。
サラメシのへジャンククはご紹介したへジャンククのどれにも当たりませんが、豆もやしがどっさり入っています。それならコンナムル・へジャンククではないかと思うのですが、
正確なメニュー名は「ソクプリへジャンクク」です。ソクプリというのはあえて訳すと「体の中にたまった酔いを解く」という意味で、へジャンと意味が重なるといえます。
サラメシのへジャンククは豆もやしがどっさり入っています。
豆もやしはアルコールの分解を促進するとされているため、へジャンククに入ることが多い食材です。
サラメシでは、ソクプリへジャンククの他にも雑穀ご飯、豆腐キムチ(炒めたキムチと蒸した(温めた)豆腐の組み合わせ)、ブロッコリーかにかま炒め、ほぐした岩のりのごま炒め、白菜キムチなどなどを一緒に食べられるようになっていました。
ちなみにへジャンククは、1883年、仁川港の開港とともに本格的に食べられるようになったといわれています。開港によって海外から韓国にやってくる人たちが増え、この人たちが肉を食べることが多くなりました。その分骨や内臓が余ったため、仁川港周辺にある食堂ではこれらを使ってスープをつくり、メニューとして出したのが、港の労働者の間で人気を集めるようになり、へジャンククと呼ばれるようになったのが始まりだといいます。先ほどご紹介したように、骨や血などが使われている場合が多い所以です。