今日の話題はリチャード・ギアの韓国訪問についてです。
ハリウッドスターのリチャード・ギアが韓国を訪れたことは先日のニュースでもお伝えしました。
訪問の目的は、彼がこれまでに撮った写真の写真展がソウルで開催されるので、その広報のためにやってきたものでした。
普通、ハリウッドスターがやってくるのは大体が出演した映画の広報ということが多いものですが、彼の場合は写真展の広報でした。しかし人々の関心はハリウッドスターの仏教徒、リチャード・ギアでした。そのため彼がソウルのチョゲ寺を訪れる様子、チョゲ宗のお坊様と会ったりする様子が大きく報道されました。
予定ではその後、韓国南部、テグのトンファ寺、釜山近くのトンド寺を訪れテンプ
ルステイを楽しむという話でした。ところが23日、突然こんな報道がありました。
写真展の広報を兼ねて家族と共に韓国を訪問中のハリウッド俳優リチャード・ギアが23日、慶尚南道ヤンサン通度寺とテグ桐華寺(동화사)訪問の日程を健康上の理由で取り消した。
ギアーはこの日、通度寺と桐華寺で韓国のテンプルステイを体験する予定だったが時差の適用ができずに疲労が重なり、日程を取り消したということだ。ギアーは24日、放送出演と観光などの日程を消化し、25日に次の訪問地に向かう予定だ。
この報道を聞いて、「あれっ? やっぱり!」と思いました。ソウルのチョゲ寺はいいですが、釜山、テグというのはやはり遠いし、リチャード・ギアに韓国式の僧服を着せるというのも、いかにも宣伝ぽいなあと思っていたからです。何かきな臭いということです。
結局リチャード・ギアは24日にKBSの朝の情報番組に出演し、その魅力を振りまきファンを喜ばせたあと、無事に25日に出国しました。そして今週になり、リチャード・ギアが訪韓した際にチョゲ寺などで通訳を務め、その後、単独インタビューもしたヘミン和尚のコラムが新聞に掲載されました。
ヘミン和尚はハーバード大学で宗教学を学び、現在はヘンプシャー大学で宗教学を教えているという大学教授を兼ねたお坊さんです。日程を突然取り消した際の様子がこう説明されています
前日、記者たちの取材競争に驚き、彼の10歳の息子の具合が悪くなったというのがその理由だった。そして彼のマネージャーが一言皮肉を投げかけた。なぜかとても多くの人々が彼を利用しようとしているという感じを受けたというのだ。この話を聞いた瞬間、驚いた。なぜこんなことを言われるのか、彼の韓国訪問のスケジュールをもう一度よく見てみることにした。
午前のスケジュールは取り消されたが午後には彼と静かにインタビューすることができた。その時になりマネージャーの言葉の意味が分かった。彼の韓国訪問の意図は夏休みを迎えた彼の息子や妻とともに家族団らんの旅行をしたかったのだ。静かな韓国の山寺に行き、ゆっくりその美しさを感じたかったのだ。しかしその計画は多くの取材陣と人々の関心の中で水の泡になってしまったのだ。
彼を直接招いた、写真展の企画者はもちろん、お寺側も彼を通じて韓国仏教を国内外に広報しようという意図があったことは否定できません。また通訳をしたヘミン和尚のところにも「自分の経営する伝統レストランにギアを招きたい」「サインをもらってほしい」「ギアに賞をあげたいのだが、連絡先を教えてくれ」などという電話が相次いだといいます。
有名人の場合、まあこういうことも仕方がないのかもしれません。でも本当にギアは家族旅行として来たらしく、10歳の息子とともに野球場を訪れ楽しそうに観覧している姿も報道されました。
韓国では仏教を韓国仏教といいます。漢方医学も、漢方の漢の字は、漢字の漢の字ではなく、韓国の韓の字を使います。韓国独自と言う意味です。なぜこんなに韓国独自を強調するのでしょう。そうしないと、日本と中国の間にかくれて、韓国の文化が世界から認めてもらえないからです。だからことさら強調します。今回のことも、私の目には最初からやり過ぎ、仏教界のはしゃぎすぎに映りました。それが突然の取り消しという、手痛いしっぺ返しを受けたのです。
しかしこの話、実は隠れたエピソードもあります。リチャード・ギアはヘミン和尚とのインタビューの翌日、報道陣を煙に巻き、何の予告も無しにソウルの真寛寺(진관사)を訪れ、3時間にわたり静かなこの山寺を見てまわったとのことです。そして出国直前にヘミン和尚にこんな言葉を残したといいます
今回が韓国を知る最後ではなく、最初になることを望んでいる。次に来る時には韓国の山寺に泊まり、きちんと韓国仏教を見てみたい。。
そうなることを、私もファンの一人として心から願っています。