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ライフスタイル

女性と禁煙

2011-11-22

玄海灘に立つ虹

女性と禁煙
先週の16日、こんなニュースが流れました。

成人女性の喫煙率が、実は報告されている5.9%の2.4倍にあたる13.9%であることが分かりました。
これはアンケート調査では女性喫煙者が、自分がタバコを吸っていることを隠しているためです。
今回の調査は2008年国民健康栄養調査の統計値を分析し、小便内のコチニン成分を測定したものです。
これは禁煙運動協議会の主催した「女性と喫煙」シンポジウムで発表されたものです。


このニュースのポイントは2つです。
まず、韓国ではまだ女性は喫煙の事実を隠している傾向がある。
その割合が実は非常に多いということ。
女性は男性よりも自分の喫煙を隠しているケースが6倍も多く、実は30代未満の女性は4人に一人は喫煙しているという調査結果も合わせて発表されました。

これまで禁煙政策から女性は抜け落ちていました。
しかし女性の場合、特に出産年齢にある30代未満の喫煙率が高いということは奇形児出産などのリスクも高いので、今後は女性の禁煙対策を進めるべきだという内容です。

韓国のタバコの歴史についてはこんな背景があります。

タバコは朝鮮時代の1618年に日本から入ってきました。
最初に導入されたタバコの名前はナムリョンチョ(남령초)、南の国から入ってきた神霊の草という意味です。
そして効能として「痰がのどに詰まった時、消化が悪い時、真冬に寒気を防ぐのに有効だ」と言われました。


歴史的には最初は薬草の一種として日本から到来したということです。
そのため最初に導入した当時は男女に関係なく、4,5歳の子供たちも吸っていたといいます。
しかしその後、両班(ヤンバン)たちがタバコを吸うことに身分の制限を設け、自分たちの特権としてタバコを吸っていました。

そのような両班階級の特権物だったタバコが近代に入り、社会全般に広がります。
女性も年とったお婆ちゃんなどがタバコを吸う姿は、昔の絵画などにも残っています。

では現在、実際に私の周りでタバコを吸う人がいるかといいますと、大学に講義に行き、携帯電話を受けようと校舎の外、階段の踊り場に出ると、女子大生も男子の学生とともにプカプカ吸っているのを見かけます。

しかし授業中、例えばセミナーの席、さらには先生との私的な食事の席で、先生と一緒に吸っているという学生はいません。
これは男子学生も同様です。
会社員の会食の席でも上司の前ではたとえ男性でもタバコは吸わず、外に出て吸うというのが今でも韓国社会の習慣になっています。

そんな儒教的な慣習の残っている韓国で女性は喫煙の事実を隠すのは当然と言えば当然です。
わざわざ言う必要はない。どちらにしても会社などでは吸わずに、プライベートの場だけ、それも一人きりのときに吸うだけだからということです。

女性の喫煙理由についてある評論家は次の3つを挙げています。
女性の権利の主張として
ダイエットとして
タバコを吸うセクシーな女性像を求めて

全世界的にも禁煙が進んでいるのですから、女性も禁煙して当然だとは思います。
まして妊娠、出産を考えれば、タバコが悪影響を与えることははっきりしています。

それにしても「吸っていないと言っていながら、実は吸っている女性が多いんですよ」というニュースの伝え方、何か嫌な気分にさせます。
もう少し周りをよく見れば、わざわざ尿の成分測定などしなくてもタバコを吸っている女性がいるのはよく分かるはずです。
女性はタバコを吸わない、吸うはずがない、吸うのはおかしい、というこのワンパターンな考え方、21世紀の韓国にもしっかり残っていたんですね。驚きです。

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